現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。 誰かが痛みに身もだえている。たぶん、男だが、顔がよく見えない。「痛い! 痛い!」と訴える声が耳障りで、「やかましい!」と怒鳴りつけたところで、目が覚める――。 東京都23区に住むトオルさん(55歳、仮名)さんが、肩から指先にかけての痛みに悩まされるようになって以来、よく見る夢だ。痛みの原因について、医師からは長年、飲食業界で体を酷使してきたためだろうと言われたが、肝心の病名がなかなかわからない。 ■自分の声にびっくりして飛び起きる日々 「痛がっているのは僕だったという……。いつも、自分の声にびっくりして飛び起きます。そういうときは、痛みの