9月11、12日と南山大学を会場に日本基督教学会学術大会が開催された。主題は「キリスト教からみる人間の尊厳」。主題講演を南山大学元学長のハンス・ユーゲン・マルクス氏(現・藤女子大学学長)が行い、南山大学の建学の宣言「人間の尊厳のために」から説き起こし、古代から中世、現代に至る「人間の尊厳」の思想を語られた。 その中で特に印象的だったのは、スペインのドミニコ会士で国際法学者フランシスコ・デ・ビトリア(1486ごろ~1546年)が、スペインの植民地政策を批判し、新大陸の先住民保護を訴え「スペイン人が到着する前に、彼ら(先住民)は、公私両面において真の主権を持っていた」と主張していたこと。同じくスペインのスコラ学者フランシスコ・デ・スアレス(1548~1617年)が「多くの非キリスト教徒が、キリスト教徒よりも政治的に有能」と主張していたことだった。 欧米における奴隷制廃止は、1833年イギリスの
