老齢マウスに若齢マウスの脳脊髄液を投与したところ、老齢マウスの記憶機能が改善され、この改善が、神経細胞の機能を回復させることが実証されている増殖因子に起因する可能性のあることが明らかになった。この知見を報告する論文が、Nature に掲載される。今回の知見は、若齢マウスの脳脊髄液が老齢マウスの脳を若返らせる可能性のあることを実証している。 脳が老化するにつれて、認知機能の低下が顕著になり、それと同時に認知症や神経変性疾患のリスクが高まる。一生の間に全身性要因がどのように脳に影響を与えるのかが解明され、脳の老化を遅らせる可能性のある治療法に関する手掛かりが得られた。脳脊髄液は、脳が直接触れる環境の一部であり、脳細胞に栄養素、シグナル伝達分子、増殖因子を供給している。しかし、脳の老化において脳脊髄液が果たす役割は、よく分かっていない。 今回、Tony Wyss-Corayたちは、脳脊髄液の若返