以下は、国際政治学者の高坂正堯の言葉です。 重要なことは目的と手段の間の相関関係、すなわち手段が目的によって規定されるだけでなく、目的もまた手段によって規定されるということなのである。中立論者は、憲法第九条のかかげた絶対平和を目的として絶対視するついでに、政策上の目的としての中立を自明のこととして引き出してしまうのである。(中略)しかし、この絶対的目的を達成するにいたる個々の具体的目標―たとえば中立―は、とりうる手段との相互関連において決定されるべきものなのである。手段と目的との間の生き生きとした会話の欠如こそ、理想主義者の最大の欠陥ではないだろうか。 この文章は、日本の安全保障体制の方策の一つとして中立主義を主張した坂本義和に対し、高坂が反論したものです。いわゆる「リアリスト(現実主義者)vsアイデアリスト(理想主義者)」論争として60年代に注目を集めました。 高坂は、けっして中立主義そ