家庭や地域などの「生まれ」によって学力や学歴など教育の結果に差が出ることを「教育格差」とよぶ。世界でこの教育格差は、学業不振や退学を増加させ、人種差別や社会的分断を引き起こしている。そして、さらなる社会的格差や貧困を生みだす悪循環に陥る原因にもなっているのだ。 人種や民族、言語の違いなどがあるマイノリティが学ぶ環境は、富裕層と比較すると劣悪であることが多く、教育によって引き出されるはずの人間のポテンシャルが十分に発揮できない。これは社会全体にとっても大きなマイナスだ。 こうした課題の一つの要因になっているのが、「学校間格差」だといわれる。自分の周りにどんな同級生や友人がいるかといった「環境」は教育の成果に大きな影響をもたらすのである。 そんななか、フランス南西部のトゥールーズ市は学校間格差を断ち切る、思い切ったプロジェクトによって大きな成果を上げている。トゥールーズ市には、人口の90~95