自分の子が犯罪を犯した時、親としてどう接していくかは悩むところだ。繰り返すことがないよう厳しい目を持つと同時に、子を信じる力も試される。 複数の女子高校生らに対するわいせつ行為などに問われていた男の裁判員裁判が、今年8月から9月にかけて東京地裁立川支部で開かれていた。公判には男の父親が証人として出廷し、被告人を見守っていくことを約束していたが、その監督能力に疑問を呈されていた。 被告人には同種の服役前科があり、父親は前回の裁判でも、同じように息子の監督を誓っていた。にもかかわらず、被告人は仮出所から1年も経たずに再犯に及んでいたのだ。(ライター・高橋ユキ) ●仮釈放からほどなく、のぞきを開始。半年後には盗撮 被告人(公判当時40)は、2020年から翌年にかけて、東京都下でウーバーイーツの配達員をやりながら、盗撮やわいせつ行為を繰り返していた。 起訴されていたのは、女子高校生3名に対する強制
ある民間団体を「悪質トランス差別団体だ」とSNSに投稿したことで、その団体から投稿削除や謝罪を要求されたが、それらに応じる義務はないとして、日本の大学で特別研究員をつとめる台湾出身の男性が11月14日、義務の不存在を求めて、横浜地方裁判所に提訴した。 この男性はリュウ・レイキンさん。リュウさんによると、団体側はSNSでの投稿を削除するまで不法行為が継続しているとして、1日5000円を支払うことも求めてきているという。 提訴後に横浜市内で開かれた記者会見で、リュウさんは、団体が「誤った知識を拡散し、LGBTとりわけトランスジェンダーの当事者を攻撃している」と批判したうえで、「ジェンダー差別の問題に関して正しく理解してほしい」と訴えかけた。 ●リュウさん側「違法な名誉毀損はない」 今回訴訟に至ったトラブルの発端は、リュウさんが2022年9月に投稿した次のようなツイート内容だった。 〈悪質トラン
軽貨物の配送ドライバーらが加盟する「建交労軽貨物ユニオン」などは11月10日、ドライバーの待遇改善を訴えるシンポジウムを都内で開いた。 シンポには、アマゾンの荷物を運んでいた元ドライバーが登壇して「荷物の積載数や配達エリアをAIで決められるようになった結果、交通安全が守られなくなった」と批判。 ユニオン関係者らはシンポジウム終了後、アマゾンジャパン本社を訪れ待遇改善に関する要望書を渡そうとしたが、「門前払い」に遭い文書の受け取りも拒否されたという。 ●荷物量、配達エリアをAIが決めることで生まれるリスク 配送ドライバーの多くは、個人事業主として運送会社などと業務委託契約を結び、荷物を運んでいる。個人事業主は本来、契約企業の指揮命令を受けずに自己裁量で作業の進め方を決められるはずだが、実態は雇用されたドライバーと同じ仕事をしている、というケースも珍しくない。 アマゾンの荷物を配送するドライバ
客からの暴言や暴行、不当要求などで働く人の就業環境を害するカスタマーハラスメント(カスハラ)。クレームに対するお詫びとして多量の菓子を渡す慣習を断ち切り、業界全体のルールづくりに取り組むのが菓子業界だ。 菓子業界の消費者対応を行う「日本菓子BB協会」は2017年、菓子の現物がなければかわりの商品を送らないという共通ルールを決めた。カルビーでお客様相談室長を務めた経験もある、日本菓子BB協会のアドバイザー・天野泰守さんに悪質クレームの実態や取り組みを聞いた。(ライター・国分瑠衣子) ●「顧客創造」のため、多量の菓子を送る慣習がエスカレート ――業界の共通ルールを決める前は、悪質クレームにどう対応していたのでしょうか。 クレームがあった商品のお詫びとして、たくさんの商品の詰め合わせを渡す慣行がありました。 工業製品と違い、お菓子は焼いたり揚げたりする過程でどうしても形にばらつきが出ます。お客さ
国内の宗教研究者有志の25人が、国に対して世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する適切な対応を要望する声明を出した(10月24日付)。 東京大の島薗進名誉教授と北海道大の櫻井義秀教授が10月28日、都内で会見。統一教会問題は長期にわたって被害が続き、違法性を認めた裁判が既に多数ある特異な団体だとし、研究の蓄積や判例に基づいて、実態を整理すべきだと訴えた。 声明には迅速な動きを求める文言があるものの、会見では政治の性急な動きにたいして慎重な意見が目立った。質問権の基準を決める専門家会議が非公開であることなどを挙げ、宗教法人法に基づく法的手続きは「適切に、公正に、透明性を持って」と注文した。 ●研究者として見解示す責任ある 櫻井氏によると、25人は国内の宗教研究関連の大学はほぼ網羅しているという。宗教学者が連名でこうした声明を出すことは異例で、島薗氏は「日本宗教学会が2018年のゲノム編集の
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が10月27日、メディアに名誉を傷つけられたとして再び東京地裁に提訴した。今回の被告は日本テレビとジャーナリスト有田芳生氏、TBSラジオと紀藤正樹弁護士で、それぞれ2200万円、1100万円の損害賠償と謝罪広告を求めている。 教会の代理人福本修也弁護士は「なんでもかんでも訴えてはいない、かなり絞り込んでいる。確実に勝てる訴訟」と自信を見せた。今回を「第2弾」と述べ、今後も主に全国放送のテレビ・ラジオなど大手メディアをターゲットとしていくことを示唆した。 会見中、近藤徳茂総務副局長が「有田については…あ、有田さんについては」と呼び捨てしてしまう場面もあり、テレビ等で露出が多いコメンテーターを敵視している姿勢がにじんだ。 ●紀藤弁護士は2度目 対象となったのは、日本テレビ「スッキリ」(8月19日放送)での有田氏の発言と、TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線
2023年10月のインボイス制度スタートまで1年を切った。事業者向けのイメージが強く一般の人にはなじみが薄いインボイス制度だが、生活の身近な場面で影響が出る可能性がある。 例えば、社用でタクシーに乗った時にインボイス領収書がもらえず経費精算できなくなることが想定される。他にも関係する業種が多く、制度に反対する声も出ている。 いったいインボイスとは何なのか。なぜタクシーで社用対応の領収書がもらえない可能性があり、なぜ反対運動が起きているのか。制度とともに身近な税である消費税について考えてみたい。(ライター・国分瑠衣子) ● 2023年10月スタート、零細事業者に影響大 インボイス制度には「適格請求書等保存方式」という難しい名前がついている。インボイスは製品やサービスを売る側の事業者が、買う側に消費税率や税額が分かるように発行する請求書のことだ。 普段、事業者は売り上げ分の消費税額から仕入れや
「情報ライブ ミヤネ屋」と「ひるおび」にコメンテーターとして出演した弁護士の発言で名誉を傷つけられたとして、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)は9月29日、テレビ局と弁護士らに計約6600万円の損害賠償や謝罪広告をもとめて東京地裁に提訴した。 提訴後に記者会見を開いた教団側代理人の福本修也弁護士は「弁護士ですから、いずれ懲戒(請求)も考えています」と述べたほか、言論を理由とするさらなる訴訟も検討していると明かした。 ●テレビ2局と弁護士3人が訴えられた 訴えられたのは、読売テレビ(大阪府)とTBS(東京都)の2局と、コメンテーターとして出演した紀藤正樹弁護士と本村健太郎弁護士と八代英輝弁護士の3人。 教団は、番組内の発言は事実に反するとして、教団の社会的評価を著しく低下させ、名誉毀損にあたると主張。各発言についてそれぞれ放送局と弁護士を訴える訴訟を3つ起こした。いずれも損害賠償とともに、番
パルスオキシメーターの偽造品を廉価で販売する業者への対応を怠ったとして、メーカーと販売会社(いずれも兵庫県神戸市)は9月28日、ECサイト「Amazon」を運営するアマゾンジャパン合同会社(東京都目黒区)を相手取り、計2億円の損害賠償をもとめて東京地裁に提訴した。 原告側は、「相乗り出品」と呼ばれる手法によって、偽造品が定価の10分の1の価格で販売され、売上や信用が低下したと主張している。 ●中国系の無許可業者が10分の1の価格で「偽造品」を売り出した 原告のメーカー社長や代理人弁護士が同日、都内で記者会見を開いて説明した。 訴状などによると、メーカーから独占的な販売委託を受けた販売会社は、Amazonに月額を支払うことで2011年5月からAmazonマーケットプレイスにおいて複数のパルスオキシメーターの出品を始めた。 新型コロナ禍でパルスオキシメーターの需要が高まる中、2020年8月に中
警視庁新宿署の留置所に勾留されていた20代男性が、警察官から虐待を受けたとして、東京都を相手取り、慰謝料など165万円を求める裁判を東京地裁に起こした。提訴は9月15日付。 訴状によると、男性は、勾留中の今年7月、体調を崩した同室の男性のために「毛布1枚だけでも入れてやってくれませんか」と頼んだところ、留置担当の警察官に「保護室」と呼ばれる別室に連れて行かれた。 さらに「パンツ一丁」の下着姿にされて、身体を拘束された。トイレにも行かせてもらえず、そのまま下着を汚してしまい、涙を流していたところ、警察官は「みっともねえな」と言い放ち、侮辱したという。 男性側はこれらの警察官の行為は違法であると訴えている。 ●病人のために毛布を求めたら「保護室」に連行 男性は留置所でどのような扱いを受けたのか。訴状に書かれた詳細は以下の通りである。 異変が起きたのは、7月6日夜だった。 男性を含む5人が収容さ
「麻薬」として規制されている幻覚物質を含むお茶を販売するなどして、麻薬取締法違反(製造の幇助、原材料提供、施用等)の罪に問われた男性に対し、京都地裁(安永武央裁判長)は9月26日、懲役3年、執行猶予5年(求刑4年)の有罪判決を言い渡した。 約50分にわたる判決文の読み上げの後、男性は記者会見を開き、「あまりに雑な判決だが、高裁で闘えということだとポジティブにとらえている」と控訴する方針を示した。裁判所では傍聴希望者が列をなし、法廷は満席となった。 ●DMTを含む植物を湯に入れたお茶は「麻薬」なのか? 男性は「青井硝子(あおいがらす)」の名でウェブサイト「薬草協会」を運営し、幻覚物質「DMT(ジメチルトリプタミン)」を含むお茶を販売するなどしていた。 DMTは幻覚作用があり、麻薬取締法で規制されている。しかし、DMTが含まれるものは他にもあり、たとえばオレンジにも微量に含まれることもあるとい
「単にモザイクがかかっていないだけで、『わいせつ物』と認定されるのはおかしい。刑法175条1項は『表現の自由』を侵害して、違憲だ」。自分で撮影した無修正のアダルト動画をFC2コンテンツマーケットで販売したとして、罪に問われている男性が、こんな前代未聞の主張を展開して、刑事裁判の控訴審を戦おうとしている。 男性は、弁護士ドットコムニュースの取材に「『わいせつ』の基準は、時代に合わせて変えるべきだと思います。しかし、チャタレイ事件や四畳半襖の下張り事件の時代から同じままです。勝つのは難しいと思いますが、最高裁まで戦って、なんとか爪痕を残したいと考えています」と語る。 ●海外の業者を通じて「無修正」を売るようになった 刑法175条1項で定められた「わいせつ電磁的記録送信頒布の罪」に問われているのは、都内在住の会社役員、大島さん(仮名)だ。 男性が男性器を露出して、女性がその性器を口に含む「口腔性
民事裁判の全判決をオープンデータ化する構想が進んでいる。9月3日におこなわれた弁護士業務改革シンポジウム(主催・日弁連)の第1分科会で、平岡敦弁護士が「かなりの確度で実現するのではないかという状勢になってきている」と報告した。 民事判決のオープンデータ化については、日弁連法務研究財団が裁判所などと調整している。実現に向けた具体的な話が進んでいるといい、すでに法務省が法改正のための検討会を開くという報道も出ている。 平岡弁護士によると、まだ構想段階ではあるが、裁判所からの民事判決を収集・管理する法人を新設し、AIによる仮名化を施したうえで、法律出版社や研究機関などに有償提供するという運用案が考えられているという。 日弁連法務研究財団の資料より(2021年3月25日:https://www.jlf.or.jp/wp-content/uploads/2021/04/pt-houkoku20210
安倍元首相銃撃事件以降、宗教2世問題について、さまざまなメディアで特集が組まれています。社会的認知が広まる反面、思い込みによる偏見も多く耳にするようになりました。 2021年8月の記事で自身の壮絶な宗教体験を話した詩人、iidabii(イーダビー)さんは「カルト宗教問題について、中立を装った傍観をしている人は、人権侵害を許容することと同じ」と言います。 「自分はマインドコントロールされるはずがない」と考える人は少なくないですが、カルトの思想は、名前を変えて、わたしたちのすぐ隣に潜んでいます。前回の取材から1年、今現在のイーダビーさんが考えていることをお聞きしました。(成宮アイコ) ●宗教問題で家族と縁を切ることは、家出ではすまない 昨年のインタビューでは「見て見ぬふりをした世間が被害を助長させた」と語っていたイーダビーさん。旧統一教会の事件後に多くのメディアに出演しましたが、宗教2世が受け
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く