あなたは、ビジネスの現場で、「すり合わせ」という言葉を聞いたり使ったりしませんか。この言葉は、2人、ないしは数名で意見を調整し、合意するときに使われます。信頼し、尊重し合った者同士が、お互いの知識や意見を出し合い、その相違点を明確にし、お互いの溝を埋めるために「歩み寄る」。それによって、お互いに納得のゆく合意形成を行うというものです。 実はこの「すり合わせ」、日本人に特有のコミュニケーション技術なのです。欧米のビジネスマンにこの言葉を説明しようとしても、なかなか理解してもらえません。 例えば、日本の自動車産業はすり合わせ型の産業といわれており、これほどの活況を呈しているのは、すり合わせの技術によるといえます。一般に、すり合わせ技術は、日本人の優位性のひとつとして、好意的に捉えられています。1例として、日本のとある自動車メーカーで働く、商品企画部の高橋さんと設計部の鈴木さんの「すり合わせ現場