「パラサイト 半地下の家族」で史上初めて英語以外の映画が作品賞を取るという、すばらしいことが起きた今年のオスカー授賞式は、一方で、視聴率が史上最低という、悪い意味での歴史も残してしまった。授賞式の興奮が少し落ち着いた今、今年のオスカーから学んだことを、振り返ってみよう。 統計はもうあてにならない 賞レースを予測する上で最も大きな役割を果たしてくれてきたのが、過去の統計だ。たとえば、プロデューサー組合賞(PGA)はたいてい作品賞を言い当てるし、監督賞は、9割以上の確率で監督組合賞(DGA)と一致する。演技部門にひとつも食い込まなかった映画が作品賞を受賞することはとても稀で、編集部門に候補入りするかどうかもひとつの鍵になる。 今年も、演技部門の受賞者4人は映画俳優組合賞(SAG)とまったく同じで、授賞式の前半こそ、やはりこれらは当てになると思われたが、そこからは違った。監督賞は、DGAを受賞し