野島久雄. (2003). 誰のためのデザイン? 誰のための貼り紙? InterCommunication, 12(1), 71-79. ■ あまねく偏在する貼り紙からノーマンを考える 「押す」いう紙が貼られたドア、「切符は重ねて入れないでください」というシールが貼られた自動改札機、「開閉方向逆」というラベルのあるお湯の水栓。 ドナルド・A・ノーマンが「誰のためのデザイン」の中で強く主張したことを思い出してみよう。デザイナーがやるべきことはこのようなラベルがなくてもユーザが迷わないですむデザインをしようということだったはずだ。 ノーマンの「誰のためのデザイン」(原著1988年、日本語訳1990年)、そしてその後の一連の著作は、日本ではインタフェースの研究者やデザインの分野の方々から高く評価され、毎年ほぼ変わることなく安定して売れている(Norman, 1988, 1990b)。同書が