第2次安倍内閣の経済政策“アベノミクス”の第一弾として黒田日銀総裁が誕生し、黒田バズーカこと異次元緩和が行なわれて世間の注目を浴びているマクロ金融政策だが、各所から論評されてはいるものの、中央銀行の視点を良く説明している一般書はほとんど無いと思う。そのため少なく無い誤解が過去の、そして現在の日本銀行に向けられており、中には憤慨している人すらいるようだ。そういう人は、日銀出身で京大で教鞭をとる翁邦雄氏の『日本銀行』を読むべきだと思う。日銀も無責任にマクロ金融政策を展開しているわけではなく、長い金融史で培われた心配事があるわけで、この本を読めばそう世の中単純ではないと分かるはずだ。 プロローグから著者は巷の浅薄な金融政策論に不満をもって本書を執筆したと分かるが、特定の政策を強く奨めるものではない。第1章で世界の中央銀行設立史を、第2章で世界の金融政策の失策例を紹介した上で、第3章で日本銀行の設