民主党政権も、遅まきながら中期財政フレームで、2020年までにプライマリーバランス(PB)を黒字化するという目標を掲げた。かつて小泉政権で掲げられた「2011年の黒字化」から10年も先送りだが、それも実現は困難だ。内閣府の試算でも、成長率が1%台では2020年にはPBは約20兆円の赤字。消費税を10%にしても増収は10兆円だから、問題は事業仕分けのような個別の無駄ではなく、財政構造の改革である。 今年度予算の一般歳出で最大の項目は社会保障の27兆円だが、さらに大きな無駄は社会保障に含まれていない隠れた社会保障にある。たとえば農業の戸別所得補償の予算は5600億円だが、これは農業政策としては意味のないバラマキであり、実質的には兼業農家への社会保障だ。本来の社会保障は所得の低い人を救済する制度だが、農家の平均所得は普通のサラリーマンより高いので、これは「逆社会保障」である。 農水省の予算は2.