20代前半の頃は、インターネットはインターネットに棲むためもので、そこに人格があった。オフラインの私とオンラインのアイデンティティが交錯することがあるとは思っていなかった。ましてや自分が結婚したり、子供が生まれる話にリアリティは微塵もないわけで。親との会話以外では、本名はほとんど呼ばれなかったし、邪魔なだけだった。インターネットでは主にはてなID(AirReader)で暮らし、便利なツール群としてGoogleアカウント(airreader@gmail.com)を使っていた。Googleアカウントには名前を設定する必要があり、同僚から野中空海という名前を頂戴した。当然偽名である。Googleアカウントの名前は非公開にできないので、オンラインネームである必要がある。 それから歳を重ね、不思議なことにライフステージが上がっていくと、書類などにメールアドレスを書く機会が増え、困ることが増えてくる(