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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (25)

  • 「ローマ人の物語」の読みどころ【まとめ】

    おもしろければ、それでいい、という姿勢で読んでいる。これを教養書や歴史書として読む奴の気が知れん(→いわゆる団塊社長)。お題にもあるとおり、これは「物語」として読むのが正解。 例えば、「たら」「れば」の乱発、見てきたような断定口調、その一方で「…と思う」で終わる文章、妄想爛漫、カエサル萌え… 好き放題に書いてる ── それでも威を借るために歴史書からも引用頻々… 史家をチクりチクりと批判しながら。 つまり、往年の名著「男たちへ」で培ったシニカルな目線は、ローマという増幅装置を使って現代へ放射しているんだな ── それが団塊世代には心地よいらしい。ダンナや息子が激しく気の毒に思えるが、日最高齢の腐女子として、がんばってくださいと、つい応援したくなる。 したがって、楽しめる読み方は、ツッコミを入れながら、塩婆がバッサリ斬った史実や書籍を拾いながらが良い。 「塩婆が言ってることはホントーか?」

    「ローマ人の物語」の読みどころ【まとめ】
  • 貧乏人は早く死ねというのか『老後破産』

    まだ暑い盛り「お年寄り、クーラーつけず熱中症、救急搬送8000円」というニュースを目にした。 省エネなのか冷や水か、場合によっては生命維持装置でもあるスイッチを切るなんて。こまめにON・OFFしても、浮く電気代はわずかなものらしい。電気代ケチって病院代かかるなんてギャグかと思っていたら、事情は違うようだ。その差ですら惜しむような、さらには電気代すら払えない高齢者の現実を、書で知った。 書では、年金だけでギリギリの生活をしている状況を、「老後破産」と位置づけ、必要な医療も受けられず、十分な事もとれない高齢者たちの実態を報告する。元はNHKスペシャル『老人漂流社会 "老後破産"の現実』(2014.9.28放送)をベースに、番組では紹介しきれなかった事例も併せて書き直している。番組は見逃していたが、報われない老後の現実が痛々しく、他人事とは思えない。 たとえば、港区の築50年のアパートに住

    貧乏人は早く死ねというのか『老後破産』
  • この本がスゴい!2014

    人生は短く、読むは尽きない。 せめて「わたし」が知らない凄いと出合うべく、それを読んでる「あなた」を探す。それがこのブログに込めた意味であり、このブログを通じて数え切れないほど「あなた」に教わった。「自分の興味=世界のすべて」という独善に陥りそうなわたしの蒙を何度も開いてくれた。そんな「あなた」に感謝を込めて、今年読んだ中から選んだ。 ここで紹介するのは今年読んだスゴの一角かつ100%わたしの趣味だ。もっと多様でさらに熱いのを求めるなら、facebook「スゴオフ」をご覧あれ。面白いをリアルに相互に紹介しあう、宝の山脈になっているから。 フィクション きんいろモザイク 原悠衣 芳文社 かわいいは正義だ。 大事なことだからもう一度、かわいいは正義だ。痛勤電車で揉まれ、仕事でシバかれ、暗い欲望に惑いまくりの中年には、可愛い女子高生のゆるふわな日常が、ものすごく効く。ギスギス息苦しい空

    この本がスゴい!2014
  • 『昭和史』はスゴ本

    の現代史の決定版。 過去を見ると未来が見える。質的に変わっていない日がある。むしろ、変わらない質が得られる、というべきか。波乱と躍動に満ちた昭和は、ドラマよりもドラマチックで、おもしろい。 維新だ改革だと、やたら変化が叫ばれている。ニッポンの上っ面はめまぐるしく、スローガンとキャッチコピーはどんどん入れ替えられる。だが、質はこれっぽっちも変わっていない。昭和と平成を比べると、同じ問題に同じ応対をしている。その学習能力のなさは、悲しいぐらい変わっていない。翻ると、未来を考える上で非常に示唆に富むといえる。 まず、不況時の国民に選ばれたカリスマは、スタンドプレーな外交で国際関係に危機をもたらすだろう(マスコミが煽ったら戦争になる)。これは、未来に起きる昭和の話だ。アメリカ相手に強気一辺倒で、三国同盟を結んできた外相・松岡洋右のことだ。マスコミはこぞってヒーロー扱いしていたが、まさか

    『昭和史』はスゴ本
  • 『読書狂の冒険は終わらない!』本好きあるある

    読書狂」と書いてビブリオマニアと読む。 『R.O.D』の倉田英之と、『ビブリア古書堂の事件手帖』三上延の対談。ベストセラー作家であり、書痴である二人が、これまで読んできたについてトコトン語りつくしている。語りがそのまま良いブックガイドに仕上がっており、好きをこじらせた人にうってつけ。 序盤はモダンホラー。キング、マキャモン、クーンツと、モダンホラーの洗礼を受けた二人が、選りすぐりを紹介してくれる。新潮文庫からハマり、扶桑社ミステリーで短編を漁り、リチャード・バックマンという宝を見つけて歓喜するというお約束のルートを踏破しているところが楽しい。お薦めが『デッド・ゾーン』なんて(キングにしては)短めなので、良い選択だね。「クーンツは何読んでも同じ」や「“キング絶賛”はアテにならない」など、あるあるネタをぶちまける。 そして、「“キング絶賛”はアテにならない」例外として、クライヴ・バーカー

    『読書狂の冒険は終わらない!』本好きあるある
  • 3週間でやりなおす「高校数学の教科書」

    習うより慣れろ、学ぶより真似ろ。 やりなおし数学シリーズ。いつもと違うアタマの部分をカッカさせながら、3週間で一気通貫したぞ。もとは小飼弾さんへの質問「数学をやりなおす最適のテキストは?」から始まる。打てば響くように、吉田武「オイラーの贈物」が返ってくる……が、これには幾度も挫折しているので、「も少し入りやすいものを」リクエストしたら、これになった。 書の特徴は、「つながり」。アラカルト方式を改め、高校数学の体系を一化しているという。なるほど、上巻の「数と式」の和と差の積の形に半ば強引に持ち込むテクは、下巻の積分の展開でガンガン使うし、図形と関数はベクトルと行列の基礎訓練だったことに気づかされる。ベクトルが行列に、行列が確率行列に、さらに行列がθの回転運動や相似変換に「つながっている」ことが「分かった」とき、目の前がばばばーーーっと広がり、強制覚醒させられる。 上巻 1章 数と式 2章

    3週間でやりなおす「高校数学の教科書」
    mitsugusakamoto
    mitsugusakamoto 2013/08/31
    これ、読んでみたいなあ。
  • 「がんの練習帳」で予習する

    いきなり初体験はキツい。だから練習・練習。 受験であれ性交であれ、結婚であれ親業であれ、人生は初めてに満ちている。そして、初めてのときはドキドキ(ワクワク?)するもの。いざ番になって慌てないように、予行演習をするのだ。過去にさかのぼるように赤を解いたり、暗闇でコンドームを(裏表をまちがえずに)装着したり、さまざまなな「予習」を積んできた。 今回は、「がんにかかる」予行演習をする。日人の2人に1人はなるといわれており、目耳ふさいで知らんぷりにはムリがある。受験や性交と違って、突然・唐突・直接だから、準備なしの初体験は危険でもある。「あのときに訊いておけばよかった」とか「あんなガセに振り回された時間が…」というのが、ずっと後になって分かるから。もちろんそうなったら、ショックを受けるだろうし、かなり慌てることは間違いない。しかし、予習するとしないとでは雲泥だ。受験や性交がそうだったようにね

    「がんの練習帳」で予習する
    mitsugusakamoto
    mitsugusakamoto 2013/08/31
    これは点訳されているから読んだことがある。
  • わたしが知らないエロ本は、きっとあなたが読んでいる

    「わたしが知らないエロは、きっとあなたが読んでいる」を作った。 スゴからアダルトなやつを精選していく。エロマンガやグロ小説といった、ダークサイドな奴はここで発酵させてゆく。を持つ手が焼け爛れ、頁を見る眼が拉がれるような、強烈な趣味ばかりなので、覚悟していらしてくださいませ。 そして、いいのがあったら、そっちで教えてください、ぜひ。

    わたしが知らないエロ本は、きっとあなたが読んでいる
  • 『垂直の記憶』はスゴ本

    今年読んだ一番。 ギャチュン・カンの代償はあまりにも大きく、一時は落ち込みそうになった。しかし、ギャチュン・カンを選んだことを誤りだと思ったことはないし、アタックしたことに対しても悔やんではいない。むしろギャチュン・カンに挑戦してよかったと思っているくらいだ。あれほどの厳しい状況に追い込まれても、びっくりするくらい冷静に判断を下し、自分の能力を最大限に発揮し、行動できたことに喜びさえ感じている。今まで積み上げてきたことに間違いはなかったのだ。 著者は日を代表するクライマー、山野井泰史。氷と岩の山行を日記のように綴る。「ギャチュン・カンの代償」とは手足の指を十、凍傷で失ったこと。登頂後、嵐と雪崩に遭遇し、・妙子とともに脱出を試みて奇跡的に生還した―――代償になる。 すさまじい登攀への思いと生きる意思に、そのまま撃たれる。「生きている」という強烈な感情が伝わってくる。もちろん、著者のよう

    『垂直の記憶』はスゴ本
  • 歯を食いしばって読む『凍』

    一気に読んで気がついた、口の中は血の味がした。 中盤はクライミングの緊張感のあまり、後半は手術シーンの痛みのあまり、全身に力を込めた読書になった。日を代表するクライマー、山野井泰史の話だ。頂上を目指す彼の“欲望”に直接触れる件では、持つ手が震えた。ギャチュン・カン北壁の凍りつく寒さだからではない、武者震いだ。著者は、タイトル『凍』をトウと読めば『闘』になると言う。なるほど、これは、闘いだ。 クライミングがスポーツなら、他と決定的に異なるところがあるという。それは、「最も素晴らしい核心部を見せることができない」になる。確かにそうだ、登攀の写真や日記などで伝え聞くばかりだから。新田次郎の山岳モノでは、演出された瞬間を見ることはできるが、一種の伝説を読んでいるような気になる。 だが、沢木耕太郎は成功している。腐りやすい形容詞を削ぎ落とし、徹底的に絞ったルポルタージュに仕上げている。これっぽっち

    歯を食いしばって読む『凍』
  • スゴ本オフ「食とエロ」レポート

  • スゴ本オフ「スポーツ」レポート

    オススメをもちよって、まったりアツく、語り合う。 今回のスゴオフは「スポーツ」がテーマ。「を通じて人を知り、人を通じてと出合う」とはよく言ったもので、「あの人がこのを!?」と意外な面を知りうる一方で、「この人のイチオシなら読んでみたい」という鉄板も見つかる。 よく、「どうやってを選んでいるんですか?」という質問をもらうのだが、教えてもらってるんです!! こうやって人づてに教わるのです、わたしが知らないスゴを読んでいる方から。 自分の感性だけで、書店やネットを渉猟しても限界だ。同じジャンル、似たようなコンセプト、焼き直しのを何度も手にすることになる。そして、「読むべきは出尽くした」という結論に至る。「文芸しか知らん、最近の作家はダメ」、「ノンフィクションしか読まない、マンガなんて屑だ」……ネットのおかげでたくさんの、“そういう人”が可視化されている。わたしも“そういう人”だ

    スゴ本オフ「スポーツ」レポート
  • この山の本がスゴい

    オススメをもちよって、まったりアツく語り合う。 を通じて人を知り、人を通じてに会う。「わたしが知らないスゴは、きっとあなたが読んでいる」の、「あなた」と「スゴ」が続々集まってくる。読書半径を拡張させ、既知だが未読を動機づけ、切口の斬新さに驚く。 今回のテーマは「山」。山と渓谷社さんのご協力で、モンベル渋谷店にて開催する(ヤマケイさん、モンベルさん、ありがとうございます)。いわゆる登山をテーマにした定番から、参加者のお父さんの登攀日記(モノクロ写真付き)、生活の場としての山、異界や霊場としての山、さらには墜落現場や地殻変動の場として、さまざまな「山」が紹介される。 多くの方が強力に推したのが、沢木耕太郎『凍』。壮絶な登山をされてきた山野井夫のノンフィクションなのだが、簡潔ながら迫力ある描写に呑まれるように読み干してしまう。わたしが一気に読んだとき、血の味に気づいた。クライミングの

    この山の本がスゴい
  • この本がスゴい!2012

    人生は短く、読むは多い。せめてスゴいと出会えるよう、それを読んでる「あなた」を探す―――このブログの究極目的だ。ともすると似たばかり淫するわたしに、「それがスゴいならコレは?」とオススメしてくれる「あなた」は、とても貴重な存在だ。 ネットで呟いたり、オフ会で発表したり、集団でブックハントに勤しんだり。バーチャル・リアルを問わず、そんな「あなた」同士の交流の場で、加速度的にスゴいに会ってきた。中でもここ一年で読んできたものから、選りすぐりを並べてみた。 実は、ここは既読のご紹介の場なので、氷山一角だ。だから、一番アツいfacebook「スゴオフ」を覗いてみてほしい。読まずに死ねるか級がざくざくあるデ。 昨年までの探索結果は、以下の通り。 このがスゴい!2011 このがスゴい!2010 このがスゴい!2009 このがスゴい!2008 このがスゴい!2007 このがスゴい

    この本がスゴい!2012
  • 正しい怒り方

    子どもに「怒り」を教える話。 わたしの息子は怒りっぽい。理由は至極かんたんだ、わたし自身が怒りっぽいから。無茶な割込みをかけるセルシオに怒鳴り、脱税は謝りゃいいんでしょと嘯く政治家は○ねと呪う。教える親こそ未熟者だね。 ささいなこと……計算ミスに気づいたり、誤字を指摘されたりすると、ムキーとなる息子に、「ガマンしろ!」と叱りつけそうになって、ハッと気づく。これは、わたし自身が小さい頃からいわれ続けてきたこと。そう、怒っているときに「怒るな」と強要されることほど理不尽なことはない。だが、わたしは言われ続けた。我慢しなさい、お兄ちゃんなんだから。こらえなさい、もう高学年(中学生、高校生)なんだから、恥しいことだと分かるでしょ? その結果どうなったか?自分の「怒りの感情」とは、抑えるべきもの、こらえるべきものだと教えこまれた。怒りとはウンコのようなもので、適切な場所で排出する以外は、その兆候を漏

    正しい怒り方
  • 「最近の若者はダメ論」まとめ

    近ごろ「最近の若者はダメ」が、(また)流行っているようなので、自エントリをまとめてみる。もし、「最近の若者は…」を見かけたら、ここを思い出してほしい。 きっかけは、職場の飲み会。「近ごろの若い連中はダメだ!」と一席ぶつオッサンがいたこと。それって、昔から言われてますね、と返すと、「何年何月何日に誰が言った!?出典どこだよ?何の根拠でそう断定できるんだよ?」ってオマエは小学生か。そこで調べてみたところ… ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1. 近ごろの若者は当事者意識がなく、意志薄弱で逃げてばかりいて、いつまでも「お客さま」でいる件について [URL] 「最近の若者はダメだ」と昔から言われているが、特に今の若者はひどい。当事者意識が欠如しており、いつも何かに依存し、消費し、批判するだけの「お客さま」でいつづけている――という小論。出典を隠すと、内田

    「最近の若者はダメ論」まとめ
  • むしろ初心者におすすめ「プロフェッショナル・プレゼンテーション」

    既に[ レビュー ]したが、もう一度ほめておこう、「プレゼンテーションZen」は良いだ。シンプルで、ヴィジュアルで、眠くならない(←これ重要)なプレゼンをするための必読――なのだが、これは上級者向けだろう。コンテンツの作り方やストーリーラインの決め方、さらにデリバリーの基といったプロセスの解説はほとんどない。そういうことは分かっている人向けに、取り組み方とか心構えといったスタンスを説くものだから。 では、そうしたプレゼンの基のキを知るためには何を参考にすれば――という視点で、一冊選んだ。アイディア出しからロジックの組み立て、ヴィジュアル化、チャートへの落とし込み…といった、プレゼンの基礎手法が網羅されており、新入社員や、プレゼンは初めてといった人にとって必要十分な知識を得られる。 たとえば、「キーとなるメッセージは、プレゼン後に聴衆の心に残したいものだ」とか、「キーメッセージは相手

    むしろ初心者におすすめ「プロフェッショナル・プレゼンテーション」
  • スゴ本100

    いつのまにか1000エントリ超えてたので、ここらで100に絞ってみる。 このblogで「スゴ」認定されたもの、企画「この○○がスゴい」で挙げられたものを、100にまとめてご紹介。順序適当、偏見なし、ビジネス、サイエンス、エロマンガ。ブンガク、ビジュアル、なんでもアリ、啓蒙、アダルト、劇薬なんでもござれ。「ノンフィクション」、「フィクション」、そして「劇薬系・成人指定」の三立てでご紹介。番号は便宜上つけたものなので、ランキングにあらず。 こんなにスゴいに出合えたのは、すべてあなたのおかげ。いいはたくさんあるのだが、全部読んでるヒマもないし、探している時間も足りない。だからわたしは、スゴいを読んでいる「あなた」を探す。あるいはこのblogにやってきた「あなた」の言を待つ。そうしたツッコミやアドバイスをいただき、とても感謝しています。 この100リスト全て鉄板モノだが、「それをスゴ

    スゴ本100
  • 人はなぜレイプするのか

    レイプについて、進化生物学から答えている。 挑発的なタイトルや表紙とは裏腹に、まじめに、科学的に解き明かす。そして、オブラートにも修辞学的にも包んでいない、ある種の人びとの逆鱗を掻きむしるような結論に達する。さらに、こんなを出せば大騒ぎになることを織り込んで、ある種の人たちの「主張」のいちいちに反証をあげている。 まず結論から。なぜ男はレイプし、女は苦痛を感じるのか?その理由は、養育の投資量に男女差があるからだという。 つまりこうだ。女は妊娠、出産、授乳に多大な時間とエネルギーを費やさなければならない。だから男選びも慎重になる。レイプは父親を選べず、子育てを困難にするため、女に大きな苦痛をあたえることになる。いっぽう男は養育投資が少ないことから、繁殖のため、多数の相手に関心を向けることになる。そんな男のセクシュアリティの進化が、レイプの究極要因だという。要するに男は色を好み、女は選り好み

    人はなぜレイプするのか
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: いま読むべきスゴ本「ルーツ」

    読もう読もうそのうち読もうと思っていても、タイミングというものがある。 アレックス・ヘイリーの「ルーツ」は、まさに今だと感じた。強制的に連れてこられ、家畜のように働かされ、実質的に米国を支えてきたアフリカアメリカ人――その末裔が大統領になろうとしているのだから。 だから読んだ、30年の積読を経て。 合衆国の黒歴史ともいえる黒人奴隷の問題を真正面から描いた書は、1977年のピューリッツァー賞を受賞し、世界的ベストセラーとなり、TVドラマ化され、一大センセーションを巻き起こした。「クンタ・キンテ」といえば、ご存知の方もいらっしゃるかと。 書の体裁は「小説」なのだが、著者が12年かけて自分の祖先を調べあげた集大成でもあるため、ファクト(事実)とフィクションを掛け合わせた「ファクション」と呼ばれている。親子七代、200年に渡る壮大な物語をまとめると(まとめられるのか!?)、「あらゆるものを奪

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: いま読むべきスゴ本「ルーツ」