『「読み」の整理学』という本がある。外山滋比古先生が『読書の方法』というタイトルで講談社から出していたものを文庫化した本だ。 この本の要点のひとつに、アルファ読み・ベータ読みという「読み」に関する分類がある。 . アルファ読みというのは「すでに自分が知っていることに関して読む」場合、あるいは「読んでいるものがすでに自分の知っている事である、とマップする」事を表す。最もわかりやすいケースは、たとえば童話の桃太郎だろう。ほとんどの日本人は桃太郎のお話を知っている。たとえ子供に読ませるために新しい絵本を買ったとしても、そしてその絵本自体はまったく読んだことがなくても、中に書いてあることが何かは読む前から判っている。 このように「既知の内容を読む」場合、人間の脳みその仕事は、文章を追いかけて、自分の記憶にある知識とのマッチングを確認する作業だけだ。これは非常に早く行えるし、脳に対する負担も軽い。