「食が危ない」といわれ続けています。ここ数年、あるいは十数年、もしかしたら数十年、食は危機にさらされています。しかしその危機はいっこうに去らず、むしろ迫ってきているように感じられます。その危機とは一体何なのか、そのことを考える材料になるドキュメンタリー映画が1月、2月と連続して公開されます。その2本をシリーズでお届けするその1本目はアメリカ編『フードインク』です。 『フードインク』は監督でプロデューサーでもあるロバート・ケナーが6年もの歳月をかけて作り上げたフード・ドキュメンタリーの力作。そのテーマはずばり「食糧生産」。今アメリカで食糧がどのように作られ、消費者の所まで届いているのかを映像に収めています。 アメリカの食糧生産における2つの「行き過ぎ」です。そのひとつは生産量の過剰、アメリカの食糧生産は、たとえば牛肉をとると、いろいろな牧場で育てられた牛が広大な敷地を持つ生産工場に集められ、