「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」 これは、よく知られているように、明治期最大の啓蒙思想家である福沢諭吉が、『学問のすすめ』の中に記した一節である。この言葉は一般に、人間はみな生まれながらにして平等であるという、「天賦人権説」を福沢が高らかに唱い上げたものであると理解されている。 しかし、『福沢諭吉のアジア認識』『福沢諭吉と丸山眞男』『福沢諭吉の教育論と女性論』など、福沢諭吉に関する数多くの研究書を発表している名古屋大学名誉教授の安川寿之輔氏は、このような理解は福沢を過剰に「美化」したものであり、実際の福沢は、大日本帝国による朝鮮・中国に対する侵略戦争を肯定するイデオローグだったと指摘する。 9月3日、岩上安身が安川氏にインタビューを行い、福沢が残した文献をひとつひとつ繙きながら、侵略戦争のイデオローグであり、「ヘイトスピーチ」の元祖としての福沢諭吉の実像に迫った。 福沢諭吉の