前回:第1回:大人だってラノベが読みたいんですっ!(ライトノベルの特異点はどこですか?:ゼロ年代後半から分かるラノベ史) ◆「空気」を読むのが苦手でした。私事から入るのは大変恐縮だが、中学校や高校に通っていた六年間、クラスの「空気」というものが非常に苦手だった。いわゆる「リア充」が空気を支配していて、陰キャであるところの僕はそれにサイレント・マジョリティとして従うことを余儀なくされた。「大体コイツはこういうキャラだ」というレッテルを半ば押し付けられて、それに従って生きるのに若干の息苦しさを感じていた。 僕が「生徒」という身分だったのは五年くらい前までの話だが、丁度そんな状況を的確に表していたのが鈴木翔の『教室内(スクール)カースト 』(2012)である。今にして思えば、カースト制のようにクラスの中でも順位があって……という話は、ゼロ年代の中盤から生徒たちの間では半ば常識のようなものとなって