幸せの定員(創作小説) ***-0.5*** 検査入院をする母に付き添ったときのことです。 検査入院ですから、どこか体調が悪いわけではなくて、検査後を安静に保つための入院です。 その夜一晩を病室で過ごせば翌朝には退院できます。 病室は4人部屋、母のベッドは部屋に入って右の奥。窓側のベッドでした。 南向きの5階の病室に差し込む陽射しは暑いくらい。 窓からは病院に隣接する高校のグランドが見渡せ、遠くに目をやると、立ち並ぶビルの谷間に海が見えました。 野球のユニフォームを着た男子生徒たちがグランドに現れ、キャッチボールを始めました。 部屋に目を戻し、隣のベッドとの間を仕切るカーテンを閉めると、その夜母が過ごす、およそ2畳ほどのスペースができあがりました。 そのうち、ベッドが1畳分の広さを占めていて、残り1畳のスペースにテレビ台を兼ねた収納棚が1台とパイプ椅子が1脚、食事用の可動式ベッドサイドテー