急性期脳梗塞で拡散強調像(DWI:diffusion weighted image)、ADCを撮る理由 まずは、基礎知識の確認から… ◯細胞性浮腫について 正常な細胞では細胞膜にNa+K+ポンプがあり細胞内外でのイオンの輸送を行って細胞内のNaが少なく、細胞内のKが多くなるように調節されている。 Na-K交換ポンプは細胞小器官であるミトコンドリアで産生されるATPによって作動するが、脳梗塞などで虚血状態になるとミトコンドリアはATPを産生できなくなり、イオンポンプは動作を停止する。すると細胞内のNa濃度が上昇してそれに引き寄せられて水分子も増える(いわゆる細胞性浮腫)。細胞性浮腫によって細胞体積が増加すると水分子が多く存在する細胞外腔のスペースが狭くなり水分子の拡散運動が低下する。また、細胞内においてもイオンポンプ障害でCa濃度が上昇して細胞内小器官の破壊が起こり細胞内水分子の拡散にも制限