悪役俳優として61年、数々の映画・ドラマを支え、テレビCMでお茶の間の人気者になった悪役商会の八名信夫(やなのぶお)さん(84)には、忘れられない光景がある。74年前、生まれ育った岡山市が空襲に見舞われた夜、母親に手を引かれて逃げ惑ったときのことだ。道には焼け出されて倒れる人々。なかには同級生もいた。「背中から煙のようなものが出ててね。彼らを乗り越えて逃げたんですよ……」。戦争の悲惨さを忘れてはいけない、戦争は人の心を消し去る“魔の消しゴム”だ――。八名さんはいま、その思いを胸に映画製作を続けている。(高鍬真之、鈴木毅/Yahoo!ニュース 特集編集部)