先日、岡真理の『記憶/物語』という本を読んだ。 いくつか考えたり、感じたことがあったので、おいおい書いていけたらいいと思うが、ここではひとつだけ。 この本に書かれている重要なことのひとつは、人間が個として生きること(体験)は、他者の存在にあらかじめ媒介されている、というようなことではないかと思う。 だから「他者の排除」は、個としての自分自身の生(及び死)を根本的に損なうことになる。というか、ぼくに言わせれば、それは生の根源的な否定という意味で「死の正体」みたいなものじゃないかと思う。他者のいない生って、ゾンビみたいなもんだろう。 こういう読み方をすると、この本に書いてあることは、すごく同意できるような気がするが、少し違和感があるのは、「他者」をどこに見出すかという点だ。 ここで例が挙げられているのは、難民とか、虐殺されたり迫害される人とか、そういう極限的な体験をしてる人たちである。そうした