新型肺炎とともに「デマ」も世界で蔓延している。依然として収束しない、食料品やトイレットペーパーの買い占めもそんなデマが招いた悲劇だ。そんな中、インドネシアでは、外交問題にも発展した風評被害を日本人がこうむっていた。東南アジア情勢に詳しいジャーナリストの末永恵氏がレポートする。 *** 「邦人保護の観点からも極めて重要な問題だ」――。新型肺炎問題で日本人がインドネシアで差別的な扱いを受けたとして、茂木敏充外相は3月18日の衆院外務委員会で、こう遺憾を表明した。 同委員会では、外務省の水嶋光一領事局長も、インドネシアやドイツなどの国で「日本人への差別的な扱いが生じている」との懸念を表明。茂木外相は「再発防止の要請を行った」と政府や関係団体に抗議したことを明らかにした。 コロナ騒動に端を発した日本人差別は、外交問題にも発展している。とくにインドネシアの場合は、国家元首が筆頭となって、その一因を招