東京都千代田区で11日、歩行者ら5人が死傷したタクシー事故で、12日に死亡した山本斉(ひとし)運転手(64)=東京都杉並区=と同居していた母親(88)が同日午後、取材に応じた。 「一人息子でしたが、もう死んでしまった。亡くなられた方々が気の毒で、申し訳ないです」。母親は漏らした。 母親によると、山本運転手は20年ほど前から都内で個人タクシーの運転手として働いていた。普段は午後3時に家を出て夜中の午前2時ぐらいまで勤務していた。持病はなく、これまでに大きな事故も起こしたことはなかったという。 最近は新型コロナウイルスの影響で売り上げが少なかったといい、休みを返上して働くことも多くなっていた。「本当にまじめな息子だった。お金がない中でタクシーの支払いもあり、がんばって働いていたんですが」 事故が起きた11日は土曜日だったが、午後3時には自宅を出た。体調が悪そうな様子もなく、いつも通りに見えた。