このところ、ジョー・ツァイの電話は鳴りやまない。かけてくるのはJPモルガン、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー。 すっかりウォール街の人気者だが、ツァイの名前は聞いたことがない人のほうが多いだろう。CEOの肩書もない彼が、ある理由から、投資銀行業界でモテまくっている。ここ10年ほどで最大規模になるとも言われるIPO(新規株式公開)──中国電子商取引大手、アリババ集団の株式上場──のカギを握る男なのだ。 アリババの前には、あのアマゾンもかすむ。リテールネット・グループによると、2012年の売り上げはアマゾンの860億ドルに対し、アリババは1600億ドルだった。 上場すれば時価総額は1500億ドルを超える可能性もあり、フェイスブックやグーグルのIPOを上回る大型案件だ。しかも、引き受け会社の座を射止めた金融機関には、数十億ドルという手数料が転がり込む。 ヤフーの命運も左右する 注目の