官邸で目にした総理の“素顔” ――柳澤さんは2004年から2009年までの5年間、内閣官房副長官補として、4つの内閣(小泉・第一次安倍・福田・麻生)で安全保障と危機管理を担当されました。間近で各首相と接する機会も多かったと思いますが、それぞれの方の印象はいかがでしたか。例えば麻生さんについては、前川喜平さんとの対談本『官僚の本分』の中で、「がらっぱちのように見えますが、決してそうではない。悪ぶっているけど悪ではない」と仰っていますね。 柳澤 そうですね。自分の周りにはちゃんと気遣いされる方だし、口が悪いわりにはわれわれ相手にもしっかり挨拶はしてくれるし。そういう意味では、育ちのいい人だなという印象は持ちました。 ――小泉さんについては、「あの人だからしょうがないみたいな、不思議なパワーを持っておられた」と仰っています。 柳澤 小泉さんは、直接われわれから話を聞くような場面はあんまりなかった