東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数この記事の写真をすべて見る 本当の問題はそこにはない(※写真はイメージ) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * 国際政治学者・三浦瑠麗氏の発言が波紋を広げている。2月11日の報道バラエティー「ワイドナショー」で、同氏が日本国内には北朝鮮の潜伏工作員(スリーパーセル)が多数存在し危険であると発言、その妥当性が問われているのである。 三浦氏への批判は大きく二つに分けられる。ひとつは工作員の