mrkmhiroshiのブックマーク (133)

  • 『中国の歴史認識はどう作られたのか』 共産主義から愛国主義へ - HONZ

    この10年間の最大の過ちは教育にありました。ことにイデオロギー的、政治教育です。単に学生たちに対してのみならず、人民一般に対する教育です。 1989年に世界を震撼させた天安門事件を振り返り、鄧小平はこう語った。彼は、民主化を求める抗議行動の拡大を目の当たりにして、1980年代における共産党の最大の過ちは、人民に銃をつきつけたことではなく、イデオロギー教育の欠如であったと結論付けたのだ。この事件以降中国では、共産党主導の愛国主義教育キャンペーンが行われていく。そして、この愛国主義教育によって深く埋め込まれた「歴史的記憶」は、市井の人々の世界観から外交政策の選択肢、指導者の言動にまで大きな影響を与えることとなる。 書のテーマは、「歴史」そのものではなく「歴史的記憶」にある。著者は書で、過去に実際何が起こったのかではなく、中国人が「歴史」をどのように理解してきたのか、また支配者たちはどのよ

    『中国の歴史認識はどう作られたのか』 共産主義から愛国主義へ - HONZ
  • 『年収は「住むところ」で決まる』 プログラマーが多い街にはヨガ教室が多い - HONZ

    中国から“ものづくり”を取り戻せ。こんなスローガンが聞かれるのは、かつてのものづくり大国・日だけではない。リーバイスのようなアメリカン・スピリッツを象徴する企業までもが製造拠点の全てを海外に移し、失業率が高止まりするアメリカでも“製造業保護活動家”たちが製造業の復権を強く訴えているようだ。しかし、カリフォルニア大学バークレー校教授で経済学者の著者エンリコ・モレッティは、彼らの主張は多くの誤りに基づいていると指摘する。 そもそも、アメリカの製造業は長年のあいだ拡大を続けており、2009年時点の生産高は中国とほぼ同じである(日の約2倍)。1970年代からの生産高増加と反比例して製造業関連従事者が減少したのは、生産性が飛躍的に向上したから。ジェネラル・モーターズ従業員1人当たり年間生産台数は、1950年代に約7台だったものが、現在では約28台にまで増えているという。この生産性の向上は、エンジ

    『年収は「住むところ」で決まる』 プログラマーが多い街にはヨガ教室が多い - HONZ
  • 『ツイッター創業物語』 世界をつないだツイッターは、創業者たちの友情を引き裂いた - HONZ

    ビズ・ストーンは、200万ドル以上の価値をもつグーグルのストックオプションをあっさりと放棄した。貧しい家庭に育ったビズの貯金はゼロだったが、迷いなどなかった。この2005年時点で既に巨大企業となっていたグーグルで、これ以上ビジネスライクな人間と堅苦しいルールに縛られて生きていくことなど、ビズにはとても耐えられなかったのだ。グーグルを去ったビズは、憧れの人であり、元上司でもあるエブ・ウイリアムスのプロジェクトへと参加する。自らが惚れ込んだ価値観を実現するイノベーションを仲間とともに追いかけることは、200万ドル以上の価値があるとビズは確信していた。 2007年、ビズはエブに一通のメールを書いていた。それは、注目を集め始めた新サービス・ツイッターでの自分の役職を“共同創業者”とするよう依頼する、極めて政治的で、2年前の自分が最も忌み嫌っていた類のメール。200万ドルよりも“やりたいこと”、“仲

    『ツイッター創業物語』 世界をつないだツイッターは、創業者たちの友情を引き裂いた - HONZ
  • 捏造を知るにはこれを読め! 『背信の科学者たち』の緊急再版を訴える⇒再販が決定しました! - HONZ

    『背信の科学者たち』、この刺激的なタイトルのが化学同人から出版されたのは四半世紀前。1988年のことである。かけだし研究者であったころにこのを読んだ。驚いた。捏造をはじめとする論文不正を中心に、科学者のダークな事件をあらいだし、その欺瞞から科学をとらえなおそうという試みである。最初におことわりしておくが、この、後に講談社ブルーバックスとして出版されているが、いまは絶版になっている。 科学というのは、基が正直ベース。性善説にのっとった営みである。こういったことと自分はまったく無縁だと思っていた。まさか、10年後に捏造事件に巻き込まれるとは夢にも思っていなかった。そして、今回のSTAP細胞騒動である。 STAP細胞について、直接は関係していない。しかし、主人公以外の登場人物は、論文調査委員会のメンバーも含めて、個人的に知っている人ばかりである。そして、専門領域が近いこともあってか、ある

    捏造を知るにはこれを読め! 『背信の科学者たち』の緊急再版を訴える⇒再販が決定しました! - HONZ
  • 『東大エグゼクティブ・マネジメント デザインする思考力』 東大・知の最前線 - HONZ

    東京大学で知の最前線に挑み続ける6人の研究者へのインタビュー集である。インタビュイーの顔ぶれは、以下の通り。 ・素粒子物理学:村山斉 ・植物病理学:難波成任 ・イスラム政治思想:池内恵 ・情報通信工学:江崎浩 ・西洋経済史:小野塚知二 ・有機合成化学:井上将行 これほど幅広い分野の一流研究者の研究エッセンスを引き出すことは容易ではない。しかし、書では元マッキンゼー日支社長であり、東大エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)の企画・推進責任者である横山禎徳氏が聞き手となり、研究の意味を解きほぐすことで、知の最前線の醍醐味が門外漢にも伝わってくる。2008年に開講された東大EMPは、「全人格的な能力を備えた人物」の育成を目指しており、豪華な顔触れのインタビュイー達も東大EMPの講師であるという。 書は2012年に出版された『東大エグゼクティブ・マネジメント 課題設定の思考力

    『東大エグゼクティブ・マネジメント デザインする思考力』 東大・知の最前線 - HONZ
  • 『メキシコ麻薬戦争』 ゴッドファーザーよりヤバイ現実 - HONZ

    12万人。2006年から6年続いたカルデロン政権下、メキシコ麻薬戦争によって失われた命の数である。異常なのは犠牲者の数だけではない。用いられる武器、残虐性も想像を超えている。けん銃やマシンガンは当たり前、手榴弾も決して珍しくはないという。メキシコが直面しているのは、マフィアたちの抗争や縄張り争いなどという言葉では片付けられない、“戦争”なのだ。 敵対集団の構成員や賄賂に応じない警察官を誘拐し、拷問、暴行の末に首を切り落として街中にさらすような、目を背けたくなる残虐行為はエスカレートし続けている。復讐はさらなる復讐を生み、1兆ドルを超えるGDPを誇る先進国メキシコのイメージは、すっかり麻薬と犯罪で塗り替えられてしまった。ある推計では、今では麻薬はメキシコに300億ドルもの外貨をもたらし、石油に続く輸出品となっているというのだから、無理もない。 書は、日で報じられることの少ないメキシコの現

    『メキシコ麻薬戦争』 ゴッドファーザーよりヤバイ現実 - HONZ
  • 『原発敗戦 危機のリーダーシップとは』 リーダーには何が必要か - HONZ

    福島原発事故は「第二の敗戦」だった。 著者は、深い敗北感のただなかにいる。わたしたちは何も学んでいないのではないか、日は70年前の敗戦から何も変わっていないのではないか。民間事故調のプログラム・ディレクターとして、ジャーナリストとして、つぶさに事故の経過を調査・検証してきた著者は、敗北感にとらわれながらも、日再出発への道を模索する。 書では事故を時系列的に追うのではなくず、「危機のリーダーシップ」に焦点があてられている。危機に直面したリーダーはどのように振る舞うべきなのか、組織にはどのようなガバナンスが求められるのか。コンパクトにまとめられた書には、敗戦から立ち上がり、次の危機へ備えるためのヒントが凝縮されている。 「第二の敗戦」の因果関係を説明するために文化論(日人論)を用いるべきではないと、著者は説く。文化を悪玉にすれば、責任の所在は不明確となり、どのような努力も事態の改善に

    『原発敗戦 危機のリーダーシップとは』 リーダーには何が必要か - HONZ
  • 『FBI秘録』 監視された安全かリスクある自由か  - HONZ

    FBIとはFederal Bureau of Investigationの略称であり、日語では連邦捜査局となる。その名前や映画で伝えられるイメージから、FBIをアメリカの州をまたがる凶悪犯罪を担当する警察、と考えている人もいるだろう。ところが、FBIの主たる目的はその誕生から今日まで、秘密諜報活動にあると著者はいう。CIAとは異なり、FBIには犯罪を取り締まる法執行機関としての役割もあるが、多くのFBI捜査官は、不法侵入、盗聴や脅迫という、スパイ活動に従事してきた。 もちろん、盗聴に代表されるこれらの行為は違法である。裁判所やFBIを管轄する司法省は幾度となくその行動にブレーキをかけようとしたが、FBIを止めることはできなかった。法の支配の外側を自由に動き回るその力を利用しようとする者が、後を絶たなかったからだ。そのため、「電話傍受、盗み聞き、侵入は1930年代以降、FBIの諜報作戦にお

    『FBI秘録』 監視された安全かリスクある自由か  - HONZ
  • 『飛行機技術の歴史』 技術はどのように飛躍するのか - HONZ

    作者:Jr.,ジョン・D. アンダーソン 出版社:京都大学学術出版会 発売日:2013-12-18 飛行の夢に挑んだ人々の、技術開発の物語である。航空工学を専門とする著者が、飛行機技術進化の歴史を、多くの図版と少々の数式、そして科学者・技術者の人生とともに描き出す。技術発展の経緯を丹念に追うと、科学と技術がどのように共鳴するのか、技術がどのように積み上げられていくのか、そして技術がどのように世界を変えるのかが見えてくる。あるときは科学的真理の発見が技術を飛躍させ、またあるときは発明家の無謀な挑戦が常識を覆すような自然への深い洞察をもたらしてきた。 書で最初に取り上げられるのは、あのライト兄弟、ウィルバー・ライトとオリバー・ライトである。1903年12月17日のアメリカで、ウィルバー・ライトが操る機体ライトフライヤーは、12秒間空を舞った。そのとき到達した3mという高度を「大空」と呼ぶのは

    『飛行機技術の歴史』 技術はどのように飛躍するのか - HONZ
  • 『政治の起源 下』 法の支配と政府の説明責任 - HONZ

    先史時代にまでさかのぼり、多くの国・地域を比較することで、政治制度の起源に迫っていく書は、2013年出版でおすすめNo.1だ。著者フランシス・フクヤマによる起源をめぐる探求は広く、深い。上下巻合わせて700ページ超という大著でありながら、複雑に絡み合った歴史の流れが明快な論理に則って展開されるため、最後までまったく飽きさせない。ページをめくるたびに、1行読み進めるたびに、新たな発見がある。 おすすめしたいにも色々な種類がある。最強の柔道家木村政彦の強さをその生涯とともに描き出した『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』には、木村の生きざまとその木村に惚れ込んだ著者の執念に、心が動かされる。裸足で山を駆け抜ける伝説のタラウマラ族を追い、「ヒトはなぜ走るのか」という根源的な問いに答えようとする『BORN TO RUN』には、読了後ランニングにでかけずにはいられないほど、身体が動かされる

    『政治の起源 下』 法の支配と政府の説明責任 - HONZ
  • 『増補新版 「格差」の戦後史』 混乱・一億総中流・階級断絶 - HONZ

    戦後日は格差の少ない中流社会だった、小泉改革が格差を拡大させた、日はいまだに苛烈な学歴社会だ。日の「格差」を象徴するようなこれらの言説は、マスメディアでも繰り返し喧伝され、広く浸透してきた。しかし、「格差が少ない」とは具体的にどのような状態なのか、格差が拡大するとは何が大きくなることを意味するのか。そもそも、「格差」とは何で、どのように分析されるべきものなのか。 著者は、大規模調査による数字をベースに、「格差」にまつわる神話を一つずつ検証していく。また、戦後を以下のように5つの時代に分け、マクロな視点から日社会がどのように変遷を遂げてきたかを明らかにする。そして最後には、「アンダークラス」という新たな階級が誕生した2000年代が描かれる。 第Ⅰ期:混乱の続く、戦争直後の5年間 第Ⅱ期:経済復興とともに格差が拡大した50年代 第Ⅲ期:高度経済成長を遂げ、格差が縮小した60年代 第Ⅳ期

    『増補新版 「格差」の戦後史』 混乱・一億総中流・階級断絶 - HONZ
  • 『シグナル&ノイズ』 ビッグデータじゃ未来はわからない - HONZ

    「理論の終焉:データの洪水が科学的手法を時代遅れにする」 2008年にワイアード誌編集長(当時)のクリス・アンダーソンが、ビッグデータ時代の到来を謳った記事のタイトルである。彼が予見したように、この5年で我々を取り巻くデータは爆発的に増加し、ビッグデータをマーケティングなどに利用した成功例も聞かれ始めた。 当に、大きなデータと強力なコンピュータさえあれば、理論は必要なくなるのだろうか。データの相関を適切に解析しさえすれば、ヨハネス・ケプラーのように惑星を観察して運動法則を理論化しなくとも、惑星の動きを、未来を正確に予測できるようになるというのだろうか。 書の著者ネイト・シルバーは、理論が不要になることはないと、アンダーソンの主張に反論する。大量のデータを巧みな統計手法で操り、2008年の米大統領選の結果を50州中49州という高確率で的中(2012年は50州中50州で正解!)させたシルバ

    『シグナル&ノイズ』 ビッグデータじゃ未来はわからない - HONZ
  • 新刊ノンフィクションを選ぶ方法 「8月2日に買った本」 - HONZ

    東えりかさんが、HONZメンバーによる「8月のこれから読む」をまとめてくれている。 /3584 今回も面白そうなだらけで悔しかったので、これとは別にあらたなを仕入れたのである。予想してない反撃をされたHONZメンバーの悔しがる姿が目に浮かぶというものだ。愉快である。今回はなぜそのを選んだのかについて少し紹介してみよう。 『リーマン侍 江戸語の世渡り』はタイトルで買った。このタイトルは歌舞伎に馴染のある読者へのゴキブリホイホイだ。弁天小僧の台詞「しらざあ、言って、聞かせやしょう」で有名な、通称「白波五人男」という演目は「青砥稿花紅彩画」というふうに文字で書き、その読みは「あおとぞうし はなの にしきえ」なのだ。つまり歌舞伎の演目というのは体言止めで5-7、7-7というようなリズム刻むのだ。

    新刊ノンフィクションを選ぶ方法 「8月2日に買った本」 - HONZ
  • 【読書感想】ノンフィクションはこれを読め! 2013 - HONZが選んだ110冊 ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

    ノンフィクションはこれを読め! 2013 - HONZが選んだ110冊 作者: 成毛眞編著出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/10/24メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る 内容紹介 『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』『ランドセル俳人の五・七・五』等、書評サイトHONZのお薦めレビューを集大成。 内容(「BOOK」データベースより) 森羅万象、何でも面白い!ノンフィクション書評サイトHONZ激押しの110冊。 参考リンク:『HONZ- ノンフィクションはこれを読め!』(このの元になった有名書評サイトです) 全215ページのなのですが、とにかく圧倒的な情報量。 2012年7月〜2013年6月に『HONZ』にアップされた500冊以上のレビューの中から110冊分がセレクトされているそうです。 このに掲載されているレビューは、おそらくすべて上

    【読書感想】ノンフィクションはこれを読め! 2013 - HONZが選んだ110冊 ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言
  • 『政治の起源 上』 グローバルヒストリーで読み解く制度の進化 - HONZ

    世界は多様性に満ちている。 ITの普及とともに急速に平準化されていく世界を描いた『The World Is Flat』(邦題『フラット化する世界』)の発売から8年以上が経過し、スポーツから経済まで“グローバル化”が合言葉になっている。それでも、世界はまだまだデコボコなままではないか。インターネットの力で世界はより繋がりあったかもしれないが、今もわれわれは異なる場所で、違う服を着て、似ても似つかない習慣に従って暮らしている。 深夜に子どもが1人で出歩ける国、電車が分刻みのスケジュールで正確に発着する国は、日以外にそうはない。また、誰でも銃が買える国もあれば、公共交通機関に時刻表すらない国もある。サルから進化し、同じようにアフリカに起源を持つはずの人類がそれぞれに作り上げた社会は、どうしてこれほどまでに異なるのだろう。どのような道のりを経て、これほどまでに多様な社会は形成されたのだろう。 著

    『政治の起源 上』 グローバルヒストリーで読み解く制度の進化 - HONZ
  • 『インダス文明の謎』 大河文明ではないインダス - HONZ

    世界四大文明といえば? 義務教育時代の記憶を掘り起こせば、センター試験で地理を選択した理系の私でも、エジプト文明、メソポタミア文明、黄河文明、そしてインダス文明の名を辛うじてあげられる。この“四大”文明というくくり方には様々な異論もあるようだが(2009年出版の『もういちど読む山川世界史』にも「四大文明」という表現はみられない)、大河に支えられて発達した初期文明としてこれらを認識している方は多いはずだ。 それでは、インダス文明について何か具体的にイメージできるものはあるだろうか。モヘンジョダロ、ハラッパー遺跡以外になにも思いつかなくても無理はない。下の数字はGoogle検索によるヒット件数(2013年11月10日現在)だが、インダス文明は四大文明の中で最低の数字を示す、日人にとって最もマイナーな存在といえるからだ。 エジプト文明:1,930,000 黄河文明:512,000 メソポタミア

    『インダス文明の謎』 大河文明ではないインダス - HONZ
  • 『にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語』 ホッキョクグマの肝臓を食べてはいけない - HONZ

    ワトソンとクリックによりDNAの二重らせん構造が明らかにされて60年以上が経過し、私企業のサービスを利用すれば個人でも気軽に遺伝子解析が行える時代となった。アンジェリーナ・ジョリーが自らの遺伝子検査結果をもとに乳房切除を決断したように、遺伝子分析の結果が私たちの意思決定に影響を与える事例もみられる。しかし、わたしたちは自分の未来を委ねられるほどに、遺伝子のことを理解しているだろうか。 著者は、そもそも遺伝子とDNAはどう違うのか、から説き始める。多くの先人たちの努力によって、遺伝子の役割は少しずつ、だが確実に明らかになってきている。書では、教科書的な堅苦しい説明ではなく、遺伝子と人類にまつわる不思議な物語を追っていくことで、遺伝子への理解を深めてくれる。 生命誕生から現代のエピジェネティクス研究までをカバーする書の物語は、驚きに満ちている。まさに、「にわかには信じられない」エピソードの

    『にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語』 ホッキョクグマの肝臓を食べてはいけない - HONZ
  • 『マッキンゼー』 世界を動かす黒幕の正体 - HONZ

    DeNA創業者の南場智子、IBMを再建させたルイス・ガースナー、フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ。偉大な経営者として知られる彼、彼女らは、アメリカ発祥のコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーの出身者である。「CEO製造工場」と呼ばれるほど多くの元マッキンゼーが、経営者として大企業の舵を取っている。事実、2008年の『USAトゥデイ』によると、マッキンゼー社員が公開会社のCEOになる確率は2位に大差をつけての世界一だという。 書店のビジネス書コーナーには、「マッキンゼー流」「マッキンゼー式」というタイトルがあふれ、日でも多くのビジネスマンがその経営戦略の極意に触れようとしている。オバマ政権にも元マッキンゼーのスタッフが多数いることからも、マッキンゼーの影響力はビジネス界にとどまるものではないことがうかがえる。将来の成功を約束してくれるだろう「マッキンゼー」の

    『マッキンゼー』 世界を動かす黒幕の正体 - HONZ
  • 『自然を名づける―なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか』 分類学の進化 - HONZ

    世界は名前であふれている。 街ゆく若者が凝視する手のひらサイズの四角い機械には「スマートフォン」、鋭い目つきでゴミをあさる黒い鳥には「カラス」、体毛がほとんどなく出歯のネズミには見たままの「ハダカデバネズミ」という名前がある。これらの名前はもちろん、自然に授けられたものではなく、ヒトによってつけられたものである。名前のないものを見つけることが難しいほどに、ヒトはあらゆるものを分類し、命名してきた。世界を分類し命名することは、ヒトのDNAに組み込まれた能なのかもしれない。 それではヒトは、この分類し命名する能を抱えて、どのように世界と対峙してきたのか。人類の誕生以来能に任せて行っていた分類と命名が、学問へと昇華したのは18世紀。古典物理学がアイザック・ニュートンの『プリンキピア』から始まったように、生物の分類学はカール・リンネの『自然の体系』から始まった。書はリンネがどのように生物界

    『自然を名づける―なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか』 分類学の進化 - HONZ
  • 『ジェネンテック―遺伝子工学企業の先駆者』 科学で稼ぐ - HONZ

    株価の動きに注目していたのは、投資家たちだけではない。1980年10月、多くの科学者たちもまた、ジェネンテックという新興企業のIPO(新規株式公開)の行く末を見守っていた。IPO時点でこの創立4年目のベンチャーが販売していた製品数はゼロ。しかし、1つの製品すら持たないジェネンテックの株価は取引開始20分で35ドルから80ドルに急上昇した。このときジェネンテックが調達した3800万ドル以上という金額は、当時の株式市場の新記録である。 なぜ科学者までもが、実験室を離れ市場のニュースに注目したのか? それは、ジェネンテックが「サイエンスそのものをビジネスにした会社」だったからだ。もちろん、ジェネンテック以前にもサイエンスをビジネスに活用した企業は数多い。半導体や通信、先端材料に関連した事業であれば、サイエンスの活用は決定的に重要だ。そもそもどんな業界であれ、サイエンスと無関係ということはないだろ

    『ジェネンテック―遺伝子工学企業の先駆者』 科学で稼ぐ - HONZ