これは、以前から疑問に思っていたことである。 カウンセリングでは、受容・共感・傾聴が重要なスキル(技法)だ。 これは、疑いないことだと思うが、それを、カウンセリングの入門講座で習うとき、しばしば、「繰り返し」や「オウム返し」という技法の形で説明され、実技指導されることがある。もちろん、指導者によって違いはある。 また、カウンセリング関連の専門書でも、「繰り返し」や「オウム返し」などが、 あたかも受容・共感・傾聴の具体的な方法であると説明されているものがある。 ところが、受容・共感・傾聴について研究・提唱した当のC・R・ロジャーズは、 「繰り返し」や「オウム返し」を勧めてはいない。 なぜなら、「繰り返し」や「オウム返し」には、多くの問題があるからだ。 私が提唱している〈対話法〉、特に「確認型応答」という概念と技法は、この問題点をなんとかクリアしたいという切なる思いにより考案したものである。