年明けに「江戸川乱歩「二銭銅貨」と点字とビブリア古書堂」(「くうざん、本を見る」)を拝読しておおいに触発され、このところ、乱歩の初期作品をちびちび再読するなどしていた。 青空文庫版「二銭銅貨」の底本たる光文社文庫版全集本(第一巻『屋根裏の散歩者』)は、前掲ブログにあるように平凡社版全集(S.6)に基づくが、末尾の校異(山前譲「解題」)はテキスト全体の異同について、「初出(T12.4「新青年」)、初刊本(T14.7春陽堂の創作探偵小説集第一巻『心理試験』)、平凡社版全集(S6.6『江戸川乱歩全集』第一巻)に大きな異同はない」(p.653)と述べ、また点字部分については、「桃源社版全集(S36.10『江戸川乱歩全集』第一巻)では点字暗号を訂正して書き改めている。本書もこれにならった」(同上p.654)とあるのみで、それ以上詳しいことは書いていない。 点字暗号の改訂に関しては、今野真二『リメイク