今日は別のエントリを書こうと思ったのだが,ちょっと気が変わったので. 某ブログのエントリで,「人生は楽しんだ者が勝ち」といった内容を読んだ.確かにその通りであろう.そのことについて反論するつもりはないが,こういったエントリを読むと,芥川龍之介の短編「孤独地獄」のことをときどき思い出す. 「孤独地獄」の主要な登場人物は,津藤と,禅寺の住職禅超の二人である.いずれも幕末の大変な通人で,特に禅超は,出家にもかかわらず酒色をほしいままにしてきたらしい.二人は,吉原の玉屋でひょんなきっかけで知り合ったのだった. ある日,津藤は,禅超の様子がおかしいことに気づく.そのこともあって二人はいつになくしんみりとした話をするのだが,その際禅超は以下のような話をするのである. 仏説によると,地獄にもさまざまあるが,およそまず,根本地獄,近辺地獄,孤独地獄の三つに分かつことができるらしい.それも南瞻部洲下過五百踰