欧米のビジネススクールが、哲学に力を入れ始めた。「役に立たない」とさえ言われていたのに、なぜ?早稲田大学ビジネススクールで「組織と哲学」という講義を行っていた西條剛央に聞く。 Q:近年、欧米のビジネススクールでは哲学の講義に力を入れるようになっています。なぜだと考えられますか? 西條剛央(以下、西條):もともとビジネススクールは、実証主義的な、科学的なエビデンスに基づく経営というものを重視しています。でも、よく考えれば、その限界はすぐにわかります。 なぜかと言うと、経営学とは社会科学であり、社会科学と自然科学の違いというのは、「物質」と「社会」の違い、と言えばわかりやすいかもしれません。水は変わらないけれど、社会は変わる。どんなに厳密に統計を駆使しても、社会そのものが変わってしまったら、その知見は一般化できなくなるんです。 例えば、2010年に原発の意識調査を行って、それが統計的に一般化で