東日本大震災で大津波に襲われた東北の太平洋沿岸は、明治と昭和の三陸地震、チリ地震と、繰り返し津波の被害に遭っている。防災ビデオ「津波襲来 その一瞬が生死を分ける」(東映)の制作に携わり、2007年に三陸沿岸を歩いた映像ディレクターのタカギ・タイキチロウさんに聞いた。【岡礼子】 3月11日、東京にいたタカギさんは地震の後、「津波が来る。そう思って緊張してハラハラしていた」。これまでも、大津波警報が出ると、サーフィン好きの知人に「今日は行くなよ」と伝え、「警報が出ても津波って来ないよね」と言われると「今度は来るよ」と返したりしていた。津波は「普通の波が大きくなったものではなく、高さ数メートルの巨大な水の塊が押し寄せてくるイメージ。名前を変えた方がいいと思うくらいだ」と力説する。 タカギさんが撮影のため津波研究家の山下文男さんと一緒に三陸を訪れたのは4年前の3月下旬。約28万人の死者・行方不明者