工場萌えとかテクノスケープなどと言われるものについて、まだ考えている。なぜなら、こうした、新しい(?*1)価値観に私自身同調しているからであり、それでいて、この価値観を新しい建築デザインへとつなげうる道は、今のところ見出されていないように思えるからだ。古いものを愛でることを批判するものではないが、現在の日本の都市景観がお世辞にも満足といえる状況でない以上、変えていく、つまり新しいものに置き換えていかなくてはいけない。放っておけば廃墟となって、美しくなるだろうというような思想は、極めて退廃的で危険なものである。 しかし、建築学会の学会誌である「建築雑誌」1月号の「新風景」特集は、テクノスケープ萌えという価値観の紹介にとどまり、それを踏まえて景観をどうしていけばいいのか、という点に十分に踏み込めなかった、ということは前回に触れた。そして、そこに踏み込もうとすれば、20世紀に散々使い古した建築論