「気持ち悪いなんて思わないで」と万城目さんは言うけれども、私だってそういいたい。安コーヒー屋で三十半ばの男が「青い花」1巻を読んでいたって、気持ち悪いなんて想わないで欲しい。…… いや、それは無理だろう。日曜日の午後、本来は平和島競艇にいるべき風体の男が、アイスカフェラテをすすりながら「青い花」1巻を読んでいていいはずがないではないか。書店のレジの女がカバー附けますかと聞いてきたのだが、それを断ったのが失敗であった。お嬢さんの言う通りにカバーを附けるべきであった。予備校の教室で柄谷行人「マルクスその可能性の中心」の後ろの方にある武田泰淳論を読んでいたらば共産主義者と勘違いされたことを想いだしたりもする。たしかに私は野坂参三好きだが、山中貞則の方がもっと好きなのに。 アニメも見なければ(こないだ「けいおん!」を見たけれども)、漫画も中崎タツヤくらいしか読みもしない、そんな私が「青い花」に夢中