1953年群馬県生まれ。76年東京大学経済学部卒業。81年同大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。東京都立大学経済学部助教授、東京大学社会科学研究所助教授などを経て98年より東京大学社会科学研究所教授。2019年定年退任。著書に『企業中心社会を超えて 現代日本を〈ジェンダー〉で読む』、『生活保障のガバナンス ジェンダーとお金の流れで読み解く』など。 著書 岸田首相の後継を決める自民党の総裁選が9月12日に告示され、27日の投開票に向けて選挙戦が始まった。15日間という異例の長い選挙期間が設けられ、その間9人の候補者が討論会や立会演説会などで盛んに政策論争を交わす設定になっているが、ここまでの政策には疑問を禁じ得ない。それは、誰もアベノミクスの検証の必要性を口にしないまま、それぞれに勝手な経済政策を主張しているからだ。 今の日本にとって最大の懸案事項は、世界の先進国で唯
2月22日、日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新した。証券会社で社員たちが大きな拍手をする映像がニュースで伝えられたが、はたしてどれほどの人がこれを我が事として実感できただろうか。著書『「人口ゼロ」の資本論 持続不可能になった資本主義』で、日本で進行する想定外の人口減少の原因は若者の貧困化にあると喝破した大西広慶應義塾大学名誉教授が、現在の株バブルの異常さについて緊急寄稿した。 前回のバブルより異常な今回のバブル 日経平均株価が史上最高値を更新しているが、他方で経済の停滞ムードは続いたままで、1980年代末のかのバブルとは様相が完全に異なっている。80年代のバブルがどう見ても「行き過ぎ」だったので今回は慎重になっているのだと言う人がいるかもしれないが、そもそも賃金が上昇していた中成長時代のバブルと、現在のそれとは根本的に異なる。80年代後半のバブルも当時としては極端な低金利であったと
就職「超」氷河期に苦しむ中国の若者 中国の若者が、前代未聞の就職超氷河期に直面している。 中国国家統計局が発表した2023年6月の16〜24歳の若年失業率は21.3%と、いまだかつてない数値を叩き出した。 過酷な受験戦争を勝ち抜いたのに、仕事が見つからず、結局生活するのにぎりぎりの給料しかもらえない「底辺」、すなわちブルーカラーの仕事しか見つからなかったという人も続出した。「卒業即失業」といったブラックジョークもSNSで飛び交うようになった。中国の学生たちは、自らの努力と犠牲に見合った見返りを得られないことに、深く落胆しているのだ。 今年9月14日、上海のベンチでうなだれるように眠る男性 ©時事通信社 中国政府は社会的なパニックを恐れてか、その後、若年失業率の公表を一時停止すると発表したが、これは社会的な安定と統制を何よりも重視する中国らしいやり方である。ただ、中国のネット上でもその隠蔽と
「自公国」連立へ首相布石 補佐官に異例の野党出身者―岸田政権 2023年09月16日07時11分配信 首相補佐官の辞令交付後、矢田稚子氏(左)と撮影に応じる岸田文雄首相=15日午後、首相官邸 岸田文雄首相は15日、国民民主党副代表を務めた矢田稚子元参院議員を首相補佐官に抜てきした。野党出身者の補佐官起用は極めて異例で、自民、公明両党の連立政権に国民を加える「自公国」連立へ布石を打ったとの見方が与野党に広がる。ただ、国民を支持する連合は連立に反対で、構想の先行きは不透明だ。 副大臣・政務官に女性ゼロ 法務柿沢氏、財務神田氏 「適材適所の考え方で首相が判断した。これ以上申し上げることは差し控えたい」。松野博一官房長官は15日の記者会見で、今回の人事は自公国連立への布石かと問われると、こう述べるにとどめた。首相官邸で同じ質問を記者団から受けた矢田氏も「私は関知していない」と語った。 自公国連立構
最近になって、日本の賃金に関する情報が相次いで発表され話題になっている。例えば「OECD (経済協力開発機構)」が7月11日に発表した「2023年雇用見通し(Employment Outlook 2023)」では、日本の「最低賃金」の伸び率は、OECD加盟国平均の3分の1にしか満たないことが明らかになった。 さらに、厚生労働省が7月7日に発表した、5月分の毎月勤労統計の「現金給与総額」によると、春闘で30年ぶりともいわれる上昇幅を見せたものの、消費者物価上昇率をひいた「実質賃金」の上昇率は前年比「−1.2%」となり、相変わらず賃金は伸びていないことを裏付ける形となった。 日本人の賃金が国際標準並みに高くなるのはいったいいつなのか……。専門家の中にはまだ当面無理、と言う人も多く、人手不足と叫ばれながらも、一向に上がらない賃金が我々の生活を追い詰めている。日本の賃金にまつわる最新事情を考えてみ
ホワイトカラーの9割がいまの職を失う 2035年前後に日本の労働人口の49%にあたる職業がAI(人工知能)に代替される─―。いまから10年近く前、野村総合研究所と英オックスフォード大学の共同研究でそんな指摘がなされた。それが見事に的中しそうだ。 現在、知的労働や事務作業を職業にするホワイトカラーは日本の全労働者の半数以上を占めている。今後、そのホワイトカラーの9割がAIによっていまの職を失うだろう。徐々にではない。一気に失っていく。 文章、画像、音声といったコンテンツの自動生成能力を持つAIを「生成AI」という。ChatGPTがその代表格だ。この生成AI以前のAIも人間を大きくしのぐ情報処理能力を持っていた。しかし応用力に欠け、新たなコンテンツを創出できるわけではなかった。実際、いまも資料作成などはあくまで人間の手作業で仕上げている。 しかしChatGPTをはじめとする対話型の生成AIの進
by Mario Spann 世界で最も読まれている雑誌のひとつであるナショナルジオグラフィックが、2023年6月28日にスタッフライターを全員解雇したことを、The Washington Postが報じました。1888年の創刊以来135年にわたって自然と科学を追究してきたナショナルジオグラフィックですが、デジタル時代の波に押される形で紙媒体での店頭販売を終了し、今後は記事も外部委託されることになります。 National Geographic lays off its last remaining staff writers - The Washington Post https://www.washingtonpost.com/media/2023/06/28/national-geographic-staff-writers-laid-off/ National Geographic
トラウマを残した「労働搾取」 米「タイム」誌がテクノロジー業界の闇を暴き、大きな話題になっている。 問題となっているのは、高い文章生成能力が注目される、AI搭載チャットボットの「ChatGPT」。その生みの親であるAI企業「オープンAI」がパートナー企業を通じ、時給2ドル以下でケニア人労働者を雇っていたことがわかったのだ。 オープンAIはマイクロソフトから100億ドルの出資を受ける可能性が報じられるほど、いまもっとも注目されている企業だ。いったい何が起きているのか。 オープンAIが外注先として依頼していたのは、米サンフランシスコに拠点を置くサマ社。同社はケニアやウガンダ、インドの人材を雇い、グーグルやメタ、マイクロソフトなどの顧客向けに、有害なネット情報を選別する「データのラベリング作業」を実施していたという。 ケニア人の労働者たちは、データのラベリング作業の過程で、処刑や性的虐待など極め
どうにもならない女性の生きづらさは、「おじさん社会」が原因だった! そんな気づきをつづったエッセー集『ぜんぶ運命だったんかい おじさん社会と女子の一生』(亜紀書房、1540円)が刊行された。著者の笛美さんは昨年、「#検察庁法改正案に抗議します」というツイッターデモを始めた張本人。おそるおそる政治に声を上げようと思ったのは、フェミニズムとの出会いがあったからだった。 (出田阿生) 「笛美(ふえみ)というペンネームは、フェミニズムからつけました」。そう語る笛美さんは、都内の広告代理店に勤務する三十代の会社員。「残業で疲れているときは政治のニュースなんてどうでもよかった」と振り返る。著書の前半は、笛美さんが高学歴で高収入の「バリキャリ女子」として、男性中心の広告業界で身も心も擦り減らした様子が率直に語られる。 帰宅は連日終電後、休日も出勤。同じ激務でも男性と違うのは「女らしさ」を求められたことだ
【區 龍宇(おう・りゅうう)】 1956年生まれ。社会活動家、労働問題研究者。99年、中国における労働・環境問題をリサーチする非政府組織(NGO)「グローバリゼーション・モニター」を創立。2006年、世界貿易機関(WTO)第6回閣僚会議に対するアクションで「香港民衆連盟」代表の一人となる。著書に『台頭する中国:その強靱性と脆弱性』(14年)、『香港雨傘運動:プロレタリア民主派の政治論評集』(15年、共に柘植書房新社)など。 2019年夏、逃亡犯の中国本土引き渡しを認める条例への反対運動をきっかけとして香港全体に広がった民主化運動は、広く内外の人々の関心を集めた。 しかしこの運動は、20年6月、香港国家安全維持法(国安法)の可決・施行により、50年間続くとされた「一国二制度」「高度な自治」そのものが実質的に終焉する、という思いもよらない形で幕を閉じた。国安法により、すでに多くのメディア関係者
以前、共産党の女性議員と話をする機会を得、資料も準備して同じ当事者の仲間と話を聞いてもらいました。しかし、その議員が連帯する女性は常に、"風俗なんかで働きたくない女性たち"の事でした。「風俗で働きたくない」という話でなければ、セッ… https://t.co/ts8tdCdYRm
最低賃金(最賃)に近い低賃金で働く人の割合が最近10年ほどで倍増していることが、賃金に詳しい都留文科大の後藤道夫名誉教授の試算で分かった。最賃の全国平均の1.1倍以下で働く人の割合は2020年に14.2%となり、09年の7.5%から急伸した。非正規労働者や低賃金の正社員が増えたのが要因の1つで、コロナ禍が脆弱な雇用構造に追い打ちを掛けている。(山田晃史) 最低賃金 パートやアルバイトなど非正規労働者を含む全ての働く人に適用される賃金の下限額。都道府県ごとに時給で示され、下回った企業は罰金が科される。改定は毎年度あり、国の審議会が夏に引き上げ目安を示した後、都道府県の審議会が生活費の必要額や企業の支払い能力を考慮し決める。適用は10月ごろ。東京が1041円で最も高く、沖縄など最も低い県と221円の差がある。
(2010年12月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 世界は中国の猛烈な変化のスピードに慣れた。また1年経つと、また10%成長する。だが、思春期の子供の身長が急に伸びる様子をドアの柱に印をつけて観察する親のように、経過を追うことには一定の意味がある。 これは単に、中国の成長を記録するということではない。むしろ、筆者の念頭にある節目は測定するのが難しいものだ。 大きな節目を迎えた2010年 確かに今年は、ドル建てで見た中国経済の規模が日本経済を追い抜いた年であり、このために2010年は確実に歴史教科書に残るに違いない。だが、この1年は別の意味でも、中国の復興にとって極めて重大な年だと見なされるだろう。以下、柱に刻まれた7つの印を順不同に挙げる。 渋面外交 : 今年はアジア地域における中国の「微笑外交」が渋面に転じた年だった。 これは誇張されかねない話ではある。自己主張を強める中国政府の
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く