では,なぜ日本企業は,どん欲なIT投資に踏み切れないのか。その理由は,IT投資の効果を経営者が実感できていないことにある。 日本におけるIT投資の内訳をみると,既存システムの保守・運用といった「守りのIT投資」が圧倒的な比率を占める。新規のシステム開発案件といった「攻めのIT投資」はごくわずか---つまり,巨大化した情報システムを使い続けることに多くの労力を割いているわけである。 戦略的IT投資が24%の日本,今こそIT資産リストラの時 アクセンチュアが世界のCIO(最高情報責任者)を対象に実施した調査(アクセンチュアの調査結果)によれば,日本では固定的IT投資支出(システム機能改定,ハードウエア/ソフトウエアの保守・運用,バグ対応)の比率が76%,それに対して戦略的IT投資(新規開発案件,業務/組織/ITの統合的改革投資など)は24%にとどまる(図1)。日本は,経営的には新たな価値を生み