<概要> 宇宙船搭乗員の被ばく線量率は地上の公衆や職業人に比べると一般に大きい。宇宙放射線はその起源によって銀河宇宙線、太陽粒子線、捕捉粒子線の三種類に分類される。いずれも高エネルギーであり、多くの粒子種で構成される。ほとんどは荷電粒子であるため、太陽からでるプラズマに含まれる磁場や地球磁場の影響を受ける。 生体に及ぼす影響の観点では、宇宙放射線は密度の低い粒子線であるため、標的となった細胞等とその周辺では影響が異なる。細胞レベルを考える場合はLET(linear energy transfer;粒子の飛跡に沿って与えるエネルギー密度)を、個体レベルを考える場合は線量を、指標とすることが多い。宇宙放射線の構成成分のうち重粒子は、数は少ないがLETが大きく、生体影響の約半分を与えると推定されている。重粒子の中では鉄が重要である。 <更新年月> 2002年03月 <本文> 1.はじめに 宇宙船