「『お腹を空かせた赤ちゃん』のイメージが、ずっとここにあるの。料理の仕事をして生きてきたわたしの、今生(こんじょう)の役割は『誰もお腹を空かせることのないようにする』ことなんじゃないかと思う。この仕事で食べてきたわたしの使命みたいなこと。 【フォトルポ】命をつなぐ「夜のパン屋さん」ができるまで 住むところがあって、食べるものに困らないから、あと引退してもいいかもしれない年齢のわたしが、今、やるべきことだなあ、って思うのよ」 料理家の枝元なほみさんは、ひとことずつ、かみしめるようにそう話してくれた。 食べ物の供給が、需要を大きく上回っているこの世界で「お腹を空かせている人」が何億人もいるという事実。外国だけでなくこの日本でも、毎日のごはんに不自由している人がたくさんいるという事実。「子ども食堂」や「炊き出し」を頼りにする人がいるという事実。わずかな年金で、ささやかな買い物をして生き繋いでいる