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よみものと文学に関するmzkzzzのブックマーク (2)

  • 泉鏡花 外科室

    実は好奇心のゆえに、しかれども予は予が画師(えし)たるを利器として、ともかくも口実を設けつつ、予と兄弟もただならざる医学士高峰をしいて、某(それ)の日東京府下の一(ある)病院において、渠(かれ)が刀(とう)を下すべき、貴船(きふね)伯爵夫人の手術をば予をして見せしむることを余儀なくしたり。 その日午前九時過ぐるころ家を出(い)でて病院に腕車(わんしゃ)を飛ばしつ。直ちに外科室の方(かた)に赴(おもむ)くとき、むこうより戸を排してすらすらと出で来たれる華族の小間使とも見ゆる容目(みめ)よき婦人(おんな)二、三人と、廊下の半ばに行き違えり。 見れば渠らの間には、被布着たる一個(いっこ)七、八歳の娘を擁しつ、見送るほどに見えずなれり。これのみならず玄関より外科室、外科室より二階なる病室に通うあいだの長き廊下には、フロックコート着たる紳士、制服着けたる武官、あるいは羽織袴(はかま)の扮装(いでたち

  • 村上春樹的桃太郎

    昔、とは言ってもだいぶ昔のことなのだけれど、僕はある町(名前もない小さい町だ)にと二人で暮らしていた。 多くの夫婦がそうであるように、僕たちの間にもいささかの問題があった。 他人からしてみれば些細な問題かもしれないのだけれど、はよくそのことで自分自身を責め、彼女が来持つ良さを損なっていたと思う。それは2月に突然降る冷たい雨のように僕たちを苦しめた。 「あなたはどう思うの?私たちに子供がいないことについて」とが言った。そのとき僕たちはボンゴレ・ビアンコといんげんのサラダをべ終え向かい合って座っていた。テーブル越しのはなんだかいつもより疲れているように見えた。 「ねぇ、最初に言っておきたいんだけど」と僕は言った。 「僕は特に子供が好きじゃない。それに子供がいないことは夫婦の自由な選択の結果であって、君が苦しむべき問題じゃないと思う」 は頬杖をついて僕の方をじっと見つめ、(あるいは

    村上春樹的桃太郎
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