高橋源一郎(小説家)「この作品で、作者は、それがどんな過酷な体験であったかを、まるでドキュメンタリーのように詳細に描いてゆく。ここまで真正面からストレートに『あの日』を描いたフィクションはなかったように思う」 辻原登(小説家)「これほどの天災を語る時、かつては必らず誰もが『神』について考え、祈ったり呪ったりしたはずが、なぜ登場しないのか。この作品の優れて批評的な部分は、それを『マス・メディア』に置き換えて語っているからだ。『神』は横倒しになっている」 野崎歓(フランス文学者)「読み始めるやすぐに、これは並はずれた作品と出会ってしまったのではないかという気持ちにとらわれたのだが、その感覚は読み進めるうちに強まる一方だった。激しく胸を揺すぶられ、ときに唸り声などもらしながら夢中で読み終えた」 「作品の全体が緊迫感にあふれ、たまらないほどの悲しみに覆われている。しかも文章には勢いがあり、いきいき