上席主任研究員 米山 秀隆 2014年5月 要旨 空き家対策には、問題のある空き家の除却と、まだ活用し得る空き家の有効利用という二つの方向性がある。本稿では、これら二つの方向性の施策について、最新の事例を分析した上、今後の課題について検討した。 問題空き家の除却については、空き家管理条例の制定が進み、空き家対策法案も制定される見込みとなっており、今後も所有者による自主的撤去を促すのが基本となる。しかし、近い将来、所有者不明の空き家が急速に増えていくことが予想されるため、そうした物件を迅速に撤去し得る法的手段を整備していく必要がある。この問題は最終的には、人口減少下で今後も居住地として存続させるエリアについて、居住環境を維持するために、危険かつ所有者による自発的な解体が期待できない空き家について、どれだけ費用を投入して解体していくかという問題に発展していく可能性が高い。 利活用促進についても