別視点から見た三峡ダム かつて何かと騒がれた中国・三峡ダム問題が、近年再び注目されている。まず昨年あたりから、Google Earthに映るダム画像の歪みを根拠に、決壊の危険性が報じられるようになった。これについては中国政府が否定し、Google Earthもその後画像を修正して火消しを済ませたかに見えた。しかし、勢いそのままに今年に入っても、貯水池の水位上昇への懸念が盛んに報じられている。 筆者は建築や土木の学者でも、大手ゼネコンの技術者でもない。物理的な意味でのダムの現状を説いたり、今後を占うことは手に余る。この文章では、三峡ダムが社会的に背負ってきた意義や背景について、ともすれば中国共産党への批判一辺倒で安直に片づけようとする「ありがちな見方」が溢れる中、少し違った視点を提供してみたい。三峡ダム建設が、結果として中国西部の貧困問題の解決に寄与したという論点だ。 直轄市・重慶の重要性