最近、光武帝の本質はその個人的武勇にあるのではないかと思うようになった。 歴史小説では一騎打ちが描かれ、将軍の白兵戦も多いが、史実では総大将が白兵戦をするはずもなく、それがあれば負け戦の混乱の中のみである。 ところが光武帝は将軍どころか皇帝として剣を手に敵中に斬り込み、敵を打ち破るのだ。 君主なのに陣頭指揮して剣を奮った皇帝を捜してみる。 後周の世宗柴栄は即位時の危機で陣頭指揮し、自ら斬り込ん戦っているが、部下の将軍たちの逃亡などの異常事態に際しての、皇帝の威信を確立するための緊急事態であった。 唐太宗李世民も似た戦い方をしたが、皇帝に即位した後に自ら剣を取って斬り込むような暴挙はしていない。あくまでの父の李淵の将軍であった時期のみ前線に出ていた。明の永楽帝も即位前の内乱時のみである。そう考えるとこの光武帝の勇戦ぶりは特異な出来事だとわかる。 後の残りは、前秦の苻生のような少し頭のおかしい