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ブックマーク / shinka3.exblog.jp (16)

  • 筆頭著者の記者会見と連名著者の責任 | 5号館を出て

    日、筆頭著者の記者会見がありました。ねつ造などが指摘されているNatureの論文2ともの筆頭著者です。 いつものようにすごい論文や興味深い論文の紹介記事ではないので気が重いのですが、すんなりと世の中に受け入れられていたら歴史的論文となる可能性もあった2編です。 Articleと呼ばれる長い論文の著者は8名、Letterと呼ばれる短い論文の著者は11名で、いずれも筆頭著者は同じです。筆頭著者の次に重要な責任著者とも言われる最後にクレジットされるLast authorはそれぞれ異なります。 この2編ともの論文に疑義が生じていますので、両者の筆頭著者の責任は非常に大きいということは誰でもが思っていることです。この論文が発表された時に国内でのプレスリリースの舞台になったのが理研CDB(発生再生科学総合研究センター)でプレスリリースでは理研の成果として発表されていましたので、その結果生じた責任問

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  • 研究の作法を誰が教えるか | 5号館を出て

    今日は北大の一般入試の後期試験のため、朝は7時前に家を出ました。東区(といっても我が家の近辺が特にひどかったようですが)は、15センチ位の積雪があったため自転車はあきらめて歩いていると白く見えたものは降っている雪ではなく、朝になって気温が下がってきたためかだんだんと濃くなっている霧でした。 今日の試験を最後に、次年度の新入生が最終的に決定することになるのですが、今どきの大学新入生に今まであまり書いたことのないレポートというものを課すると、そもそも何を書いて良いのかわからない、書き方がわからないということで、多くの学生はまずはインターネットで探したものを露骨にコピペしてきます。 最初のうちは、コピペがばれると思ってか、文章をどこから持ってきたかという情報を書いてこない学生が多いのですが、インターネットから引用するのは構わないから必ずどこにあった誰の文章から引用したということを示すようにという

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  • 誰でも不正を暴ける情報公開という仕組み | 5号館を出て

    震災・原発事故の復興予算をあちこちの省庁が、まさにシロアリのように流用しながらい荒らしているという話を最初にスクープしたのはNHKスペシャルだったのではないかと記憶しています。大手のマスコミではなく、NHKのニュース部門でもないNHKスペシャルのスタッフが復興予算の流用を暴いたのは情報の公開を要求して、地道に調べあげた努力の結果だと思っていたのですが、そもそもその情報が公開されていなければ暴くことはかなわなかったところを、政権交代の結果民主党が(ある意味、調子に乗って)公開するようにルールを変えたということがあったのでそれが可能になったということを、今朝の朝日新聞の記者さんの書いた論評で知りました。 〈記者有論〉復興予算流用 透明化したから失態見えた ■三輪さち子(政治部) とても興味深い記事なので、一部引用させてもらいます。これは数少ない政権交代の意義だ。 流用問題が明るみに出たのは、

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  • ウイルスは退化しているもののやはり生物だった | 5号館を出て

    私は持論として「ウイルスは生物」です。もちろん教科書にははっきりと「生物ではない」と書かれたものがまだまだ多いですから、試験に出た時には「ウイルスは生物ではないと考えられている」と書いておいたほうが無難なのですが、その「常識」を根底から覆すような論文が出ました。 Giant viruses coexisted with the cellular ancestors and represent a distinct supergroup along with superkingdoms Archaea, Bacteria and Eukarya Arshan Nasir, Kyung Mo Kim and Gustavo Caetano-Anolles BMC Evolutionary Biology 2012, 12:156 doi:10.1186/1471-2148-12-156 Pub

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  • 中国で発見された「世界最古」のチーターの化石はプラスチックと他の動物の歯で作られた模造品だった | 5号館を出て

    2012年 08月 21日 中国で発見された「世界最古」のチーターの化石はプラスチックと他の動物の歯で作られた模造品だった 実はこの論文が印刷される直前に、ある人脈を通じてゲラを見ることのできた中国の研究者(Deng Tao)らが、この化石は石膏で補完した部分が多すぎるし、最近中国でたくさん「造られている」偽化石だと思うのでPNASに出版をとどまるように連絡したものの、PNASは化石が物であることを否定する根拠が薄いとして拒否したという経緯があったようです。そこで、Tao さんらは著者の一人である中国(人?)のJi H. Maza´kさんに化石を調べさせて欲しいと申し出ましたが断られ、ウヤムヤのまま3-4年が経過していたのですが、ほ乳類化石の研究者でもあるTaoさんはあきらめませんでした。 PNASには、論文として出版されたものの化石などの貴重な標は博物館などに収めて、誰でもがアクセス

    中国で発見された「世界最古」のチーターの化石はプラスチックと他の動物の歯で作られた模造品だった | 5号館を出て
    nagaichi
    nagaichi 2012/08/21
    http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=73271059 ←が杜撰な模造化石をもとにした研究だったという話。こういうどうしようもないのを検証して潰していくのも、科学者のお仕事なんだなあ。
  • オープンアクセスの時代がやってきた | 5号館を出て

    さすがにWikipediaは、こうした領域に関しては簡潔で明快な定義を与えています。オープンアクセス(英: Open Access, OA)は、主に学術情報の提供に関して使われる言葉で、広義には学術情報を,狭義には査読つき学術雑誌に掲載された論文、インターネットを通じて、誰もが無料で閲覧可能な状態に置くことを指す。インターネットの普及を背景にして、1990年代後半から広まり始めた理念および運動である。 最近はよく見るようになったオープンアクセスのロゴです。 オープンアクセスの学術雑誌はどんどん増え続けていますが、未だにその「クオリティ」に疑問を持っている研究者や出版者も多いようです。しかし、最近になってどんどん質が上がっているという論文と解説記事が出ています。解説記事はこちら。 非常に良い選択が起こった結果、少ないながらもきちんとしたOA雑誌は質を上げながら生き残り、ダメだという評判のもの

    オープンアクセスの時代がやってきた | 5号館を出て
    nagaichi
    nagaichi 2012/08/08
    こういうのは欧米先行で進んで、日本は中国の後塵を拝すというガラパゴスな未来が予測されなくもない。
  • 都議選結果:なだれを打った自民党の崩壊 | 5号館を出て

    予想通り東京都議選では、地滑り的に民主党の勝利が伝えられています。自民党の諸氏がゲッソリとした顔でテレビに登場しているのを見るのはとても楽しいのですが、私としては一抹の不安感を感じていることも否めません。 おそらくこの勢いは、この先遠くない未来に行われる衆議院議員の総選挙にまで持ち越されることは間違いないと思いますので、「政権交代」も確実に起こるでしょう。その時に感じるであろう不安感を今から感じているということです。 前から申し上げているとおり、私としてはともかく日自民党の一党独裁ではない国であり、我々国民が自分の意志で政府を選択し、政治を国民の支配下に置くということを宣言するという意味で、総選挙で自民党が大敗北し、非自民勢力で総理大臣を初めとする内閣を作り上げるということが、現時点での政権交代のもっとも大きな意味だと思っています。 それは民主党を中心とする内閣ができたとしても、必ずし

    都議選結果:なだれを打った自民党の崩壊 | 5号館を出て
    nagaichi
    nagaichi 2009/07/13
    「あくまでも主役は我々国民であり、我々の意志を反映しない政府はすぐに我々が取り替えるのだという意志を表明する重大なチャンスとして」
  • アメリカで除草剤に耐性を獲得した雑草が増えている | 5号館を出て

    昨日の朝日新聞朝刊の科学欄に出ていた記事です。 除草剤グリホサート効かぬ雑草 米で勢力を拡大中 (5月22日朝日朝刊13版) 現地を調査した佐合隆一・茨城大教授(雑草学)によると、米国では9種のグリホサート抵抗性雑草が報告されている。とくにオオホナガアオゲイトウとヒメムカシヨモギが、広い面積で発生しているという。 グリホサートは、アメリカのモンサント社が開発し、ラウンドアップという商品名で有名な除草剤です。有効成分はグリホサートイソプロピルアミン塩(イソプロピルアンモニウム N-(ホスホノメチル)グリシナート)だそうです。 Wikipediaによると、すでに特許は切れており、ラウンドアップの日での商標権と生産・販売権は2002年に日モンサントから日産化学工業へ譲渡されて販売されていますが、他にもたくさんのジェネリック薬品が出ています。 野外では細菌などによって速やかに分解されるため、ヒ

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  • 東北大学大学院生の自殺 (とりあえず落ち着いてください) | 5号館を出て

    あまりにも重苦しいので、なかなか書けませんでした。お亡くなりになった方と、ご家族・関係者の方々には心から哀悼の意を表します。 おそらく、あちこちの大学院で似たような事例は起こっているのだと思います。今は、日中で自殺者が増えたまま高止まりしており、さらには中高年の自殺者が増えているので、ある意味であまり目立たなくなっていたのかもしれませんが、昔から感受性の強い大学生・大学院生は自殺へと向きやすい傾向を持った年齢ということで、特に注意を払う必要があるという事情は変わっていないと思います。 その上、院生の増加と国立大学を中心とする法人化のもとで、大学院生の就職競争ばかりではなく、教員の雑務の増加と通常の教育研究予算の度を越えた削減によって、大学の教育研究環境の劣悪化が加わっていますので、ただでさえ折れやすい若者たちが追い詰められやすい環境になっていることは否定できません。 そんな環境の中で、研

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  • ヒトは遺伝的多様性が高いので近親交配が危険 | 5号館を出て

    オープンアクセス誌の中で、無駄に厳しい査読をしないということで、ある意味で心配もされていたPlosOneに、またおもしろい論文が載りました。 The Role of Inbreeding in the Extinction of a European Royal Dynasty 日語でのニュース報道もあったので、ご覧になった方もいるかもしれません。 スペイン・ハプスブルク家、断絶の原因は「近親婚」か 研究結果 せっかくですので、論文を中心にご紹介してみます。ただし、私は世界史に(も)弱いので、歴史的記述には誤りがあるかもしれませんので、ご指摘願えると幸いです。話の内容は、日でも結構有名な顎と下唇を持ったハプスブルグ家の家系、特に1700年に途絶えたスペイン・ハプスブルグ家のことです。 これは最後のスペイン国王であるカルロス2世で、Wikipediaによると「先端巨大症のため、咀嚼に影響

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  • ありそうもない化石が掘り出された | 5号館を出て

    動物の化石というと、恐竜を筆頭に脊椎動物の骨の化石やサンゴの骨格や貝殻などのようにカルシウムなどを含む硬い組織だけが(もちろん他の鉱物などに置換されることも多いのですが)保存されるのが普通です。しかしながら、そうした硬い組織を含まないものでも「幸運」が重なると何千万年、何億年も残ることがあります。タコの化石はそうしたものの中でも特に保存されにくいものと考えられており、中生代以前のタコの化石は現在に至るまでたった1例しか報告がありません。しかも、それは100年以上前の1896年のものです。 古生物学の専門誌 Palaeontology の最新号に載った論文には、そんな珍しいはずのタコの化石がレバノンの石灰石の中から一気に5匹分も発見され、そのうち3種が新種として報告されています。9500万年前の地層に埋まっていたこれらのタコは、現存のタコとほとんど同じ吸盤のある8足という姿形をしており、墨

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  • アメリカ大統領就任演説のクラウド解析 | 5号館を出て

    個人的にはオバマの演説は「うますぎて」ちょっと苦手です。聞いていると、確かに訴えてくるものがあるので、逆にあまり聞こうという気になりません。よく言われるように政治演説というよりは宗教家のアジテーションに近いものを感じます。 それにしても、映像、音声、テキストで就任演説がこれほど詳細に報道されるというのも珍しいのではないでしょうか。 いつも、いろいろなソフトの使い方を教えてくれる教えて君.netが、おもしろい記事を紹介しています。 全文テキストを流し込むと、どの単語がどのくらい使われているかをクラウド表示してくれるWordleというサイトがあります。 Wordle is a toy for generating “word clouds” from text that you provide. このサイトを使って、サイトの説明文をクラウド表示させたものがこれです。 要するに、単語の出現頻度を

    アメリカ大統領就任演説のクラウド解析 | 5号館を出て
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    nagaichi 2009/01/22
  • 睡眠が10分~40分足りないだけで4倍風邪をひきやすくなる | 5号館を出て

    もうすでに日語の紹介記事を含めあちこちで話題になっているので、ご存じの方も多いと思いますが、日々の睡眠が不足していると風邪にひきやすくなるという論文が出ました。 邦文・英文さまざまな解説が出ています。 Medical News Japan 睡眠不足は風邪の元 BBCNews Lack of sleep 'raises cold risk' 天漢日乗 睡眠時間が7時間未満だと風邪を3倍引きやすい@アメリカの研究 私の一押しは、こちら Scientific American の記事です。 ScientificAmerican Can a good night's sleep prevent a cold? どの記事も基的には、上にタイトルが出ている論文の紹介なのですが、 Scientific American の記事はボランティアの被験者が800ドルをもらっているなどの舞台裏までが明かされ

    睡眠が10分~40分足りないだけで4倍風邪をひきやすくなる | 5号館を出て
    nagaichi
    nagaichi 2009/01/14
    俺は交代制勤務で睡眠が不規則+医者嫌いなので、風邪がちっとも治らないぞ。エッヘン。/+風邪ひいても酒呑んでるのを忘れてた。
  • 新しい進化系統樹 | 5号館を出て

    動物が進化したのは地球47億年の歴史の中で、最後の5億年くらいのことです。地球上のすべての動物はただ1種類の祖先動物の子孫だと考えられていて、それが次々に新しい種を生み出して現在のようなたくさんの動物種が生まれた(進化してきた)と考えられています。ダーウィンの進化論に刺激されたヘッケルは、あらゆる生物が同じ先祖から分岐して出てきたというアイディアを1の樹が枝分かれしている図で表現した系統樹を作りました。 ヘッケルの書いた図には大きな枝が3あり、それぞれが植物と原生生物と動物のグループを示しています。(図はWikipediaからお借りしました。) これによると太い枝の一番下から出ている枝の先には腔腸動物(クラゲ・イソギンチャク)がいます。今でも、クラゲなどは原始的な動物だとされていますが、それよりもさらに海綿動物(カイメン)が原始的だと考えられています。ヘッケルの系統樹にカイメンが見あた

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    nagaichi 2008/04/12
  • ほんとうにスゴイ論文は日本語で書いても外国で読まれる | 5号館を出て

    私が学生の頃に聞いた話なので、今となっては半世紀も前のことなのかもしれませんが、日の魚類学が世界をリードしていた時代があったのだそうです。その頃は魚類学に限らず、日人が書く科学論文の多くは日語で書かれ、日国内の雑誌に載っていたのだと思います。ところが、世界中の魚類学者、特にアメリカの魚類学者は日の魚類学の成果を読みたくて仕方がなかったようで、なんと日の学術雑誌(「魚類学雑誌」?)がアメリカで翻訳されて流通していたという話を聞きました。 しかし、その他の業界の論文は日語で書いても世界の誰も読んではくれなかったようです。つまり日の科学のレベルが低かった、あるいはほとんど評価されていなかったので、わざわざ翻訳してまでも読んでくれる人がいなかったということなのだと思いますが、すでに何年も前に日語で論文が書かれていたのとほとんど同じ内容の研究成果が外国人の手によって英語で出版され、

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    nagaichi 2008/01/24
  • 誰が呼んだか万能細胞 | 5号館を出て

    もはや訂正は不可能だと思われますが、iPS細胞が「万能細胞」と呼ばれることに、若干の抵抗を感じております。 幹細胞にはそれがどのような細胞に分化できるかという能力にさまざまな段階のものがあることが知られており、我々ヒトが大人になっても持ち続けている骨髄の中にある造血幹細胞は、赤血球や白血球(リンパ球、血小板を含めることもある)などさまざまな血球(血液細胞)に分化することができますが、骨髄の中にいる限り普通は神経や筋肉や肝細胞に分化することはありません(正確に言うと、「ないと考えられています」。) 大人のからだの中にも存在しているかどうかは疑問視されていますが、発生をさかのぼると血管と血液細胞の両方に分化できる能力をもった幹細胞(造血・血管幹細胞hemangioblast)が存在することが実験的に証明されています。 血液は、筋肉や骨と同じく胚の中胚葉に由来するものなので、さらに発生をさかのぼ

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    nagaichi 2008/01/21
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