忘れるということ 2010年05月26日 (水) |コメント(0) |トラックバック(0) という小説があります。 全く売れた小説ではなく、もうだいぶ昔に絶版になってしまったのですが、個人的にはかなりのお気に入りです。 この小説は、いわゆる「認知の歪み」が知覚に影響するという現象を、物語化したものなのです。 主人公の女性は、物語のなかで、ある男性と恋に落ちますが、この二人の関係はいわゆる公には認められない類の関係です。 こういう話は小説には腐るほどありますが、恋に落ちる理由が面白いのです。ある特殊な館の「上の階の部屋」に入ったときにだけ、両者は恋愛関係にあることに、気づくのです。 両人は、「ふだんには、社会的約束事や、自分の運命に対する漠然としたあきらめのような感情」のせいで「心が曇っている」のですが、「館の上の階の部屋」を訪れたときだけ、「本当の自分たちに目覚める」ことができるので、「本