(1)委任契約と請負契約の選択 1)委任契約と請負契約の違い システム開発委託契約は民法上の契約の区分からいうと、委任(法律行為以外の委任なので「準委任」。本書では「委任」と総称する)あるいは請負契約と考えられる。請負は「仕事や物(プログラムなど)の完成」を約すことが契約の目的であり、委任は「プログラムを開発するために知識や労力といったサービスの提供」をすること自体が契約目的となる。換言すれば、請負において対価を得るためには、プログラムを完成させなければならない。 委任において対価を得るためにはプログラムを開発するために知識や労力などのサービスを提供しなければならないということであるが、委任においてはプログラムの完成ということは約されていない。すなわち、プログラムが完成しなくても、今までになした履行(サービスの提供)の割合に応じて報酬ができるわけである。 また、定額の請負においては