成績が悪いことをなじられて、子が親を殺すという悲惨な事件はときどき起こる。有名なのは、1980年に予備校生が金属バットで父親を撲殺した事件だ。成績や進学をめぐって、医師である父親との葛藤が背景にあったと報道された。 記憶に新しいところでは、2006年、有名進学校の高校生が、義理の母とその子どもたち、合わせて3人を殺害し、自宅に放火した事件。少年は、父から医師になることを命じられていた。成績が悪ければ、罵倒され、暴力も振るわれていたという。犯行動機は父親への腹いせだった。 「教育熱心過ぎる親が、子どもを追いつめる」 このような事件が報道されると、マスメディアは一様に、「学歴社会の歪み」や「偏差値偏重主義」や「エリート志向」などと批判する。世間知らずのエリート一家が起こした特異な事件として扱う。 これらは本当に特異な事件なのだろうか。追いつめられた子が親を殺す事件は、大きく報道される。しかし、