対中進出した日系企業が訴えるトラブルは、ヒト、モノ、カネのあらゆる面にわたる。そんな「チャイナリスク」の中でも急増中なのが「盗難リスク」という。被害に遭って通報はしても、失敗例として社外に公表することなど、なかなかできない。そこで、いくつか実例をご紹介しよう。(フジサンケイビジネスアイ) 中国で20年近く警備や防犯業務を手がけている上海セコムの山口忠広最高顧問は「警備員リスク」を指摘する。ある日系企業の工場内から盗まれた重さ数百キロの金属素材は、堂々と正門からトラックで持ち出されていた。警備員が窃盗犯を手引きしたのは明白だが、こうしたケース以外にも、工場内の鍵を複製して窃盗犯に売る、企業秘密の書類を深夜にコピーして売りさばくなど警備員が犯罪に手を染めるケースが多い。 「性善説」で考える日本人は、純朴そうな地方農村出身の警備員がまさか、自ら犯罪に走るとは想定していないらしい。 警備員に限らず