今年度から小学校で教科化された道徳の教材に「星野君の二塁打」がある。試合で犠牲バントを指示されながら二塁打を打った星野君が監督に叱られるという内容。甲子園に向けて熱戦を繰り広げる球児や監督はどう思うのか――。長崎大会の出場校に聞いてみた。 12日の長崎大会2回戦。同点で迎えた十回表、九州文化学園の古賀豪紀(ひでとし)監督(51)は途中から4番に入った後藤祐大朗選手(2年)を呼び寄せ、聞いた。 「先頭打者が出塁したらバントでもいいか」 結局、バントの機会はなく、その裏にサヨナラ負けを喫した。古賀監督はその場面を振り返って言った。「いきなりバントを押しつけていたら、中途半端になったかもしれない。あの局面でそれは避けたかった」 古賀監督には、忘れられない試合がある。 2015年の夏の長崎大会3回戦。六回に大村工を2点リードし、なお無死一、二塁で、2年生だった7番の萩坂光希さん(20)が打席に入っ