京都市美術館が所蔵する竹内栖鳳の下絵や写生帖(スケッチブック)などの資料を通し、絵を生み出す過程と魅力を読み解きます。土田麦僊ら栖鳳の門下生や同時代の京都画壇の画家たちの下絵と本画も併せて展示し、個性の違いも楽しめます。「竹内栖鳳展」と併せてご覧ください。 京都市美術館が開館した当時から、京都画壇を率いる大画家として「百世にも稀な名人」「老匠無比の技巧派」と賞賛された竹内栖鳳。しかしその制作の裏には、多大なる苦労がありました。 西洋絵画に触発され、日本画に確かな「写実」を取り入れようとした栖鳳は、制作に入る前には主題となる対象を必ず自分の目で確かめたといいます。また、栖鳳はわざわざ自宅で動物や鳥を飼育して熱心にその生態を観察し、外形の描写だけでなく、日本の伝統絵画で重視されてきた「写意」を意識し、その本質に迫ろうとしました。 栖鳳が残した素描や下絵を見ると、一つの作品を仕上げるのに対象物の